2018/10/30 05:49 | 昨日の出来事から | コメント(0)
新しいタイプの暗号通貨?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
暗号通貨がどれ程、値ブレが大きいかを考える為に、株式市場と比べてみて欲しい。暗号通貨の最大手ビットコインは米ドルに対してS&P500の23ポイントとほぼ同じ値動きをする。投機家にとっては、それが(値ブレがある方が)好都合である。 しかしこうしたデジタル通貨で支払いや貯蓄、更には貸し出しに使いたい人にとっては、これがバグとなる。言葉を変えれば、値ブレの大きさが暗号通貨を広く使われるための大きな障害となっている。
安定コイン(stable coin)はこうした障害を乗り越えるものとして魅力的である。この通貨は通常の暗号通貨より安定的に値動きをするようにデザインされた通貨である。最近、こうした通貨が急増している。少なくとも20の安定通貨が取引所で売買され、開発中の通貨も多くある。しかし数が増加しているにもかかわらず、その売買シェアは売買全体の1.5%に過ぎない。 しかしそのシェアは次第に増加傾向にある。
投資家は、値ブレの大きな暗号通貨を保有したくない時だけでなく、資産をfiat(政府の発行した通貨)に移行したくない時、資産をこうした安定通貨に待機されることが出来る。GoogleやAndreessen Horowitzのような大手ベンチャー企業は、350mnドル以上の資金をこうした安定コイン通貨プロジェクトに投資する為の認可を受けている。
多くの安定通貨はfiatや金などの現実世界の資産を後ろ盾にしている。中には、他の暗号通貨をバスケットにした安定通貨もあれば、後ろ盾は全くなく、ただ価格を安定にするために供給を増やしたり減らしたりするアルゴリズム(計算手順)だけを後ろ盾にしたものもある。
その中がどのように動こうが、大きな問題は安定通貨が本当に安定かどうかである。最近、それが問われる出来事が起こった。10月15日に、ドルを後ろ盾にした安定通貨Tetherは、1日の出来高が2.5bnドルとなり、投機の対象になって苦しんだ。その結果、Tetherは過去18か月の安値を更新した。その後は、下げた大半を回復したが、この出来事は、Tetherの有効性に疑問を投げかけた。これを運営する会社は、この通貨がドルと連動すると主張していたにも関わらず大きく値がブレした事に対して明確な説明をしていない。
ライバルたちは、Tetherの値ブレが投資家からTetherから引き離す絶好の機会ととらえている。
最近、新しく出てきた暗号通貨は、自発的に反マネー ローンダリングを掲げ、国の規制当局の本人確認にも沿っている。 ドルを後ろ盾にしている別の暗号通貨TrueUSDは規制当局の監査を受け入れ、担保を外部信託に預けている。金(gold)を後ろ盾にしている安定通貨を発行しているEidooは、彼らが保管している貯蔵庫の貴金属を顧客が監視できるようにしている。
それでも、暗号世界の外にいる専門家は、暗号通貨が現状に留まることが出来ると信じていない。現実の世界の通貨や資産ですら安定的なないのと同様に安定通貨のペグ(連動)が壊れることがないとも限らない。 カリフォルニア大学のBarry Eichengreen氏は、こうした安定通貨は、例えば、マネー ローンダリングや脱税に好都合であると指摘する。こうした安定通貨は、他の暗号通貨がFiatに換金されるに際して合法的な税金支払いから逃れる為に使われる可能性がある。当局者は目を大きく開いて彼らの動向を監視したほうがいい。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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