2018/09/12 06:03 | 昨日の出来事から | コメント(0)
仮想通貨、その後は?!
先々週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事ありましたのでご紹介したいと思います。
ビットコイン、そしてその他の仮想通貨(暗号通貨)は殆ど価値がない。ブロック チェーンについてはまだ結論は出ていない。
古い諺によれば、マーケットは欲と恐怖によって価格が決まる。かつて欲が暗号通貨を支配していた。 一番よく知られているビットコインは2016年の12月には9,000ドルであったが、1年後には19,000ドルまで上昇した。しかし、最近では恐怖に包まれ、ビッドコインの価格は7,000ドル近辺まで下落している。他の暗号通貨も同じ道を辿り、暴落している。今後、価格がどうなるのか誰にも分らない。投機的な熱狂の中にあってボトムの値段を予想するは、その値段の最高値を予想するのと同様に愚かなことである(誰にも分らない)。特に暗号通貨においてはそうである。何故ならば、弊誌のTechnology Quaterlyでも述べているように仮想通貨の価値を測定する綿密な手段がないからである。
しかし、かつてはそのようには考えられていなかった(ある特定の測定手段があると考えられた)。 当初、そして今でも最も人気のあるビットコインは、どの政府にも属さないオンラインによる通貨として作られ、政府や銀行などの介入を全く受けることなく資金を移動できる手段とされた。(バブル)以前の10年間、暗号通貨は当初の目的として使われることは殆どなかった。利用者は複雑なソフト ウエアと格闘し、それを利用した全ての消費者を守ることは出来なかった。殆どの支払機は暗号通貨を受け入れず、安全性も貧弱であった。他の暗号通貨に至っては更に劣悪であった。
誰もその価値を明確に出来ないまま、そして使用方法が確立されないまま、暗号通貨は投機の対象として注目を浴びた。暗号通貨が暴騰し、そして暴落する中で、財を成した人も中にはいた。当初から投資していた多くの人々は現金化して大儲けをした。その一方で、その他の人々は損をした。そして、いまだに今回の暴騰と暴落のサイクルは終わっていないように思われる(更に下落する可能性がある)。
経済学者は、「通貨」を何かと交換する手段、価値を蓄える手段、そしてそれぞれの価値を測る手段と定義している。暗号通貨の多さと荒い値動きによって、暗号通貨はこうした通貨本来の如何なる手段をも満たしていない。だからと言って暗号通貨が将来的にこうした条件を満たさないという事にはならない(規制当局が不正の懸念を持っている安全性や業界の中に蔓延している俄か仕立ての暗号通貨は将来的には排除されるかもしれない)。 しかしその一方で、余りにも複雑で信用できないカジノのような暗号通貨が存在し続ける理由もほとんどない。
暗号通貨の要であるテクノロジー、ブロック チェーンは良くなるであろうか?中央銀行が管理するのではなく、全てのシステム利用者の取引をコピーしたデータ ベースを独特の形で処理する方法は、一度、書き込まれると誰もそれを変更する事が出来ない。ブロック チェーンの提唱者たちは、将来的な諸問題、例えば、銀行の支払いの簡素化、薬の履歴、不動産の権利移転の記録、あるいは、外部に漏らしてはいけない難民の身元に関する書類、等の問題を解決することが出来ると考えている。
あなたのブロック チェーンは、損失以外何ものでもない。
このように述べると、多くの反論が出てくる。 それらは、ブロック チャーンに憑りつかれた暗号通貨の投機家から来る。ブロック チェーンに取り組んだ企業の多くはブロック チェーンの有効性を明確にすることが出来ずに投げ出している。(致命的な点は)データを利用者の間で常に往復させるので、通常のデータ ベースの処理よりも遅い。
こうした限界は広く知られてきているので、(ブロック チェーンの)誇大広告は冷め始めている。幾つかの機関、例えば、銀行間の支払いネットワークSWIFTやオンライン 決済会社Stripeはブロック チェーンのプロジェクトを立ち上げたが、そこから収益を生むにはコストがかかり過ぎるという結論に至った。 しかし、まだ多くのプロジェクトは実験中であり、ブロック チェーン支持者からの激しい反論を止めることは出来ない。例えば、(西アフリカの国)シエラ レオネでは、今年の初めにブロック チェーンを使った選挙が行われると報告されたが、実施されることはなかった。
だからと言って、大袈裟に騒ぎ立てられたブロック チェーンが、全く役に立たないという事にはならない。ビジネスで合意された利用者同士を結び付ける有効性は、中央銀行を介在しない、例えば、国際貿易などのような分野においては十分あるかもしれない。しかし、ブロック チェーンが、巨大なテクノロジー プロジェクトにおいて、費用、複雑多岐な事柄、そしてそれに対する過大な期待全てを解決できるわけではない。暗号通貨は、当初の野望的な目的には程遠い結果となった。ブロック チェーン提唱者たちは、そのテクノロジーが彼らの主張が正しいと証明できるまでに至っていない。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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