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2018/08/30 05:38  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

9年半続くアメリカの強気相場


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

2018年8月22日でアメリカの株式市場の強気相場は3,453日となった。 2009年3月の666ポイントの安値を付けて以来、S&P500インデックスは、強い企業業績、低インフレ、安定した経済成長、そして中央銀行の緩和政策を背景に4倍以上になった。 この間、10%未満の調整局面を何度か経験したが、インデックスは弱気市場であることを認定する20%以上の下落はなかった。市場関係者の多くは、今回の強気市場は歴史上の記録を更新すると宣言している。

歴史的な記録を越えるかどうかは議論の分かれる処である。 また、1990年に119.9%の下落がテクニカル的に弱気転換したかどうか物議を醸すが、その後は2000年まで強気相場が続き、日数にして4,494日となり、これが歴史的な最長記録である。また、今回の強気相場では、2011年に19%以上下落した時(20%弱下落したこと)が実質的には強気市場から弱気市場に転換したと指摘する市場関係者もいる。

以上のように正確な強気市場の認定はどうであれ、強気相場は不思議なことに投資家にとってあまり好まれていない。ファンド マネージャーのKen Fisher氏は「今回の強気相場は、歴史上、最もつまらない」と述べている。1990~2000年のブームでは、S&P500は417%上昇し、年率にして19%であった。ところが、現在の強気相場は323%の上昇に留まり、年率にして16.5%に過ぎない。更に今回の強気相場は値ブレに欠けて安定的に推移した。2017年のマーケットの値ブレを示すVIX(ボラティリティ インデックス)は、その前の26年の値ブレの平均値よりも10ポイント以上も低い。

現在の株価は、買われ過ぎであると指摘する人がいる。S&P500の一株当たりの収益(PE)は26であり、景気循環調整後でも見てもまだ高い。過去のパターンでは、20ポイントを越えると調整局面に入っていた。

マネー マネージャー会社State Street Global Advisersによれば、企業間のクレジット スプレッドが広がっている事、あるいはバブル化した資産価格話にうんざりした投資家にとって、相場警戒のベルは、次の弱気相場が差し迫っている程、大きな音を立てていないようである。ゴールドマン サックスのアナリストはアメリカ株がバブルになっている可能性は20%以下であると述べている。この強気相場は、まだ上値を試す余地がありそうである。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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