2018/05/31 05:55 | 昨日の出来事から | コメント(0)
年金債券?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事ありましたのでご紹介したいと思います。
人々は退職する時、その後の年金所得が必要となる。人によってはサラリーに応じて雇用者から提供される年金(企業年金)で十分な人もいる。それでも全ての人は非常に難しい選択に直面する。
一つ目の選択肢は、現金を年金の壺に入れてキープするとインフレによってその価値は損なわれる。2つ目の選択肢であるより高い手数料とリスクを払って株に投資しても、株が下落すれば痛みを伴う。3つ目の選択肢は年金であるが、これだと生涯に亘り一定の所得が保証されるが、死んでしまえばそれはなくなる。 たとえ、退職後、1週間後に死んでも年金はなくなってしまう。
フランスのビジネス スクールLionet MArtellini of EDHECとノーベル賞を受賞したMITのRpbert Mertonが、新たな選択肢を考えついた。 労働者は、雇用期間中に国債を買う。ただし、退職するまでは利息の受け取りがない。その代り、退職後の翌年から20年間(退職者の標準的な余命期間)、この債券保有者は利息と元本のキャピタル ゲインを分割して受け取る。これによってある程度インフレにリンクさせることが出来、その時の平均的な消費と見なすことが出来る。 例えば、1970年に生まれた人は2035年から2055年まで受け取ることのできる債券を買うことになる。 全ての金融イノベーションには頭文字が必要である。 この場合、SELFIES(セルフィーズ:Standard of Living Indexed, Forward starting Income only Securities)と名付けられている。
確かに、これは、ある種、年金の役割をはたしているが、予想以上に長生きした場合(20年以上生きた場合)、所得の保証がない。それでも、この仕組みの大きな優位点は、もしこの債券の保有者が、20年の償還までに死亡した場合、その元本は遺族に相続することが出来る。また、この仕組みは企業年金ファンドや機関投資家にとっても魅力的である(将来のキャッシュ フローがある程度確定させることが出来るため)。 しかし、金利が現在のように低いままで推移すると、労働者は、退職後に満足できる所得を可能にするためには、より多くの資金を投入する必要がある。 アメリカの40~55歳の労働者の退職後の平均的な受け取り年金額は14,500ドルドルである。これでは、どんな債券を買ったところで十分な所得を生むことは出来ないだろう(仕組みは良くても金利水準が低すぎると結局は十分な資金が確保できない)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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