2018/03/15 05:19 | 昨日の出来事から | コメント(0)
運転免許証没収に直面する日本の高齢者!?
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
50年以上運転し続けてきた85歳になるHisao Matsumotoは、いまだ運転をやめる準備が出来ていない。彼と彼の妻は箱根周辺の湖の傍らに住んでおり、生活には車が欠かせない。最近、高齢者が関係した恐ろしい事故の話を聞いても彼は気にしていない。 彼曰く、「まだそんな年ではないし、100歳まで生きるために、あと15年は運転する」と言っている。
Matsumoto氏は、500万人以上いる75歳以上のドライバーの一人であり、2021年までにはその数は更に100万人増加すると推定されている。こうした事態に危機感をもった警察は、これらの人々が車を運転しないように誘導している。NPA(National Police Agency:国家公安委員会)は、75歳以上のドライバーによる死亡事故は若者の2倍に達していると発表している。また、死亡事故の約半数は何らかの認知症があることが分かっている。
毎年、何百人もの高齢者が高速道路を逆走している。1月には85歳の高齢者が郊外で走行中、反対車線を走っている車と衝突し、その衝撃で2人の学校に通う女の子をはねた。警察は、この運転手がブレーキとアクセルを踏み間違えたと見ている。この運転手の家族は、長年、運転をやめるよう訴えてきたが、彼はこれを拒み続けてきた。
「こうした家族間の確執は日常茶飯事である」と高齢者をサポートするNPOのヘッドkazunori Iwakoshi氏は述べ、「彼ら70歳台後半の運転ドライ―バーは戦後生まれであり、日本の経済復興を担ってきた。その多くは事故も起こしたことがなく、世の中から「余計者」扱いされることに憤慨している」と話す。
去年の3月以降、75歳以上の運転免許更新の際には、認知症を調べるための認識テストを受けなければならなくなった。また、信号無視などの違反の起こした後も、テストを受けなければならなくなった。NPAによれば、毎年15,000人のドライバーが免許証を返上している。また、最近の自動ブレーキシステム開発によって、こうしたブレーキとアクセルの踏み間違いを減らせるとしている。
加えて家族による説得も有効かもしれない。昨年は25万人以上の高齢者が運転免許証を返上した。Iwakoshi 氏は「多くの高齢者ドライバーは親族に付き添われて地元の警察署に出頭している」とし、高齢者がどういった対応をして運転免許証を返上しているか、その状況をチェックしている。
Matusmoto氏は、幸運にも箱根町から年金受給者限定の無制限のバス利用券を毎年10,000円で購入できる。しかし、高齢者の多くはバスなどの公共交通手段とアクセス出来ない。来年、Matsumoto氏は、これまで維持など毎年50万円かかっていた車を廃車するかもしれない。 しかし、彼は、いざというときに備えて運転免許証を保有し続けるつもりである。ただし、「認知症のテストに合格できれば」の話であるが。
今回のエコノミストの話は、他人事ではありません。明日のわが身の話です。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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