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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2018/01/26 05:17  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

仮想通貨、陽は東に沈む!?


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに掲題と称した記事がありましたのでご紹介したいと思います。

その前の週は、ビッド コインとその他の仮想通貨に取って、眩暈(めまい)のするような週(急落した週)であった。今回は、それ以上に下落し、日によっては20%以上も急落する日もあった。それは、かつての眩暈(めまい)のするような急上昇を真っ二つに割るような下げとなり、これまで歴史上なかったような急上昇をした仮想通貨バブルは弾けたのであろうか?(かつてのバブルの比較については一昨日、このコーナーでご紹介しました)。

今週(1月20日の週)の急落と、今後の見通しの暗さの発端は共にアジアにある。韓国でビッド コインの取引所での取引禁止の可能性が、今回の急落の原因とされている。 では、将来については、アジアのどの国が問題なのか?日本について見てみると、日本は仮想通貨を擁護している。一方で、中国は、殆ど、仮想通貨を追放している。韓国は、ちょうどその真ん中に位置している。

これらの国は、仮想通貨の世界では、突出した役割を果たしている。中国の取引所では、昨年、政府が仮想通貨を追放(禁止)するまでは、仮想通貨全体の90%を占めていた。日本は、今、仮想通貨市場で最も取引高が大きい。韓国の仮想通貨の取引高は世界のGDPの2%未満であり、ビッド コイン全体では約10%を占めている。

北アジアで、ビッド コインが盛んになるいくつかの理由がある。その一つに、これらの国々では、ハイテクに対して非常に関心を持つ伝統がある。また、既存の金融の厳格さ(規制の厳しさ)に対抗することも一役を買っている。中国や韓国では、海外への資本流出が厳しく管理されている。 日本では、超低金利下の代替投資として人々を魅了している。(仮想通貨)ギャンブルに対する熱気が、投機目的で更に市場に資金が流れ込んできている。

しかし、それぞれの国の規制当局は、こうした動きに対してそれぞれ違った対応をしている。中国は、仮想通貨が、政府の監視の届かなることを警戒し、最も厳しい措置に出た。昨年は、中国国内の取引所での取引を禁止し、今年に入って、WEBサイト上での取引も禁止した。政府は、地方当局に対して、ビッド コインを発行することすら締め上げる(禁止する)ことを要求している。中国では、新しい仮想通貨を発行することが引き続き盛んに行われており、彼らは、拠点を他の国にシフトしている。

中国政府は、仮想通貨を下支えしているテクノロジーそのものは奨励している。政府は、ある大きな金融会社に対して、ビッド コインによって有名になった分散型の元帳システムであるブロック チェーンの実験を推奨している。しかし、当局はあくまでも通貨(人民元)の範囲の中で行うことを認めている。中央銀行副総裁Pan Gongsheng氏が、昨年、フランスの経済学者が「ただやるべきことは、川の土手に座って、ビッドコインバブルの死体が流れてくるのを待つだけ」との言葉を引用して、市場に警告している。

日本では、反対に、仮想通貨のデーリング ルームを運営している。規制当局は、その危険性を認識している。最近の最も大きなスキャンダルは、2014年に日本をベースにした取引所Mt.Goxが破綻した事である。また、当局もこうした事態に対して言葉を濁すことはなかった。黒田日銀総裁は、2017年後半のビッド コインの急騰に対して「異常である」と警告している。

しかし、仮想通貨やそれに関連する発明を押さえつける以上に、政府は、むしろ民間に開発を勧めた。去年の3月には、仮想通貨法が可決され、仮想通貨が支払手段として利用できることになった。金融監督庁は、仮想通貨取引のリスクや不正を排除する為に11の取引所を承認した。上海に拠点を置く仮想通貨のアナリストZennon Kapron氏は、いくつかの中国の大手仮想通貨創設会社が今や日本に拠点を移しつつあると述べている。

韓国は、当初、規制当局によって禁止された。しかし、その後、ビッド コイン投機家に有利になるよう取り計らわれた。韓国では、資本管理規制がある為に、簡単に裁定取引が出来ないようにビッド コインの約40%を「キムチ プレミアム」と言って、コストの支払いを要求される。1月11日に、法務大臣が仮想通貨取引所を禁止すると発表した。これに対して仮想通貨支持者が、短期間に20万人の署名を集めて、寛大な措置を嘆願した。

こうした反発を受けて、政府は、それまでの厳しいスタンスから態度を軟化し、禁止はあくまでも一つの考えであるに留めた。 一方で、所得の把握については曖昧なままであったが、今後、投資家は仮想通貨の取引については実名を使い、仮想通貨取引で得たキャピタル ゲインは所得申告しなければならなくなった。仮想通貨市場は、こうした動きを受けて一時回復したが、今週に入って、韓国財務大臣が「仮想通貨取引の禁止は、まだテーブルの上にある」と述べ、まだ、禁止法案は、まだ生きた選択肢であることを示した。 これを受けて、仮想通貨市場は再び急落した。

仮想通貨は、過去にも急落しては回復してきた。 しかし、今回は最も大きな急落となった。 仮想通貨によっては12月の高値から50%も下落したものもある。仮想通貨信者は「仮想通貨は政府の介入を受ける事はない」という。 しかし、アジアでは、仮想通貨の世界を、将来的に育てるか、あるいは禁止するかは、(本来は影響を受ける筈のない)政府次第である。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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