2018/01/24 05:21 | 昨日の出来事から | コメント(0)
Big Macから見た為替相場
今週号の英誌エコノミストの定例のビッグ マック インデックスを使って各国の為替相場を比較した記事がありましたのでご紹介したいと思います。
通常、今後の為替相場を予測する際、現在の為替相場が高いか、安いかを、まず調べる。英誌エコノミストが考案したビッグ マック インデックスはこうした為替 レートが、どれだけ割高か割安かであるかを示す一つのガイドになる。しかし、こうした比較は実際の資本の流れや為替の需給、更には政治家の介入によって実態よりも頻繁に乖離する。
昨年7月以降の為替を見てみると、これまで対ドルに対して割安であった通貨が買い戻される傾向にある。その典型的な通貨としては、カナダドルがあり、現在は殆ど フェア バリュー(適正水準)に戻ってきている。
このインデックスは、購買力をも反映しており、購買力とは、それぞれ違った国の商品のバスケットを購入する為に必要と市場価格である。我々のバスケットは、ビック マック1個買うだけであるが、120か国で売られているビッグ マックを使って120か国の為替水準を簡単に比較する事ができる。もし、ある国のビッグ マック1個の価格が米ドル換算で5.28ドル以上であれば、アメリカ主要4都市のビッグ マックの平均価格5.28ドルよりも高いので、その国の為替は対米ドルに対して割高となる。逆に、もし、それよりも安ければ、為替は割安となる。ユーロ圏のビッグ マックはGDP換算で3.95ドルであり、単純な為替レートからでは4.84ドルとなり、これは、対米ドルで8,4%割安であることを示している。 ユーロは前回(2017年7月時点)では16%も割安であった。ユーロは、ECB総裁であるドラギ氏が、ポルトガルのSintra会議で、国債の買取りの削減を示唆して以来、対米ドルに対して大きく買われている。 それは、あたかも、ユーロがそれまで如何に割安に放置されていたかを知らしめる目覚まし時計のようなものであった。
通貨全体として見た時、ドルは、他通貨対比引き続く割高でり、唯一、スイス、ノルウェイ、スエーデンの通貨に対して割安になっているだけである。しかし、だからと言って、これらの国の為替が将来的にその割高が修正されるとは限らない。というのも、こうした国のバーガー(物価)は、交易不可能な物価(例えば、その国の家賃や労働賃金)にも依存しているからである。これはユーロ圏の裕福な国において割高になる傾向がある。 だからこうした国のバーガー代(物価)は、為替を通じて交易する際の競争力を如何に示しているかを示すには適していないかもしれない。
裕福な国の中で、イギリスと日本だけが対米ドルに対して割安である。イギリスは、ユーロ離脱という理由がある。しかし、円が割安であり続けるのは理解に苦しむ。ユーロは、単にこれまでの金融緩和政策の終了をほのめかしただけで割安が修正されている。 ソシエテ ジェネラルのKit Juckesに寄れば、日本も将来的に「ポルトガルのSintra」と同様の事が起きるかもしれない(将来的に日銀総裁による金融緩和終了をほのめかす発言があるかもしれない)。 ユーロ圏には、ユーロと非常にリンクしている国の通貨がある。 例えば、ポーランドとチェコは、通貨ユーロと非常に強くリンクしており、ユーロ圏の経済成長ともリンクしている。 そうした中、ポーランドZlotyは対米ドルで44%割安であり、チェコKorunaは28%割安となっている。
スイスや、ノルウェイ、スエーデンの通貨が割高であるのは、賃金や賃金が安い発展途上国と逆のことが当てはまるのかもしれない。 一般的には、為替は、比較する国の所得が似ている時に最も機能する購買力平価によって計測される。故に、(所得の低い)発展途上国の為替水準は常に割安となる。例えば、ロシア ルーブルは、最近の原油価格の上昇を受けても、対米ドルで57%も割安のままであり、(発展途上国であり、更に政治的に不安定である)南アフリカが最も割安となる。 ヨハネスブルグ(南アフリカ)へ行ってハンバーガーを食べよう。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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