2012/04/03 05:31 | 昨日の出来事から | コメント(3)
年齢と幸福観
日本では、この時期は新しく社会人になれる方、あるいは新しい職場に転勤や移動される方がいらっしゃる一方で、先月末で会社を退職される方がいる等、人の出入りとともに環境が大きく変わる時期でもあります。 今週号の英誌エコノミストに「年齢と幸福観」と題して、労働と幸せに関する記事かありましたのでご紹介したいと思います。
イギリスのケンブリッジ大学とSt.アンドリュー大学の共同研究によれば、「給料が他の人より安い事に対して、本人にとってどういう影響があるかを調査したところ、大きく2つの影響がある」と指摘しています。一つ目は、よく知られている事ですが「物事を否定的(negative)に捉えがちになる」傾向があります。 これは私も含めて、読者の皆様もご経験がおありかと思います。
もう一つの効果は、これはまあまりよく知られていないのですが「トンネル効果(tunnel effect)」と言われるもので、「自分の給料が他の人より高いと、自分自身が、他の給料の高い人と同じように、自分自身や自らの生活も彼らと同じように改善していくチャンスが多くなると思いこんでしまう傾向です。
他の研究結果においても分かっている事でもあり、案外、意外に思われる事かもしれませんが「他人の給料と比べて多い、少ない」は、個人の満足感にあまり影響しないのです。 特に、ある程度の年齢を取ると、自ずと自分の将来の収入は見えてくるものであり、他人の給料より多少多くても、だからと言って自分の生活が大きく改善すると期待するトンネル効果は殆どみられません。 また、一方で、ネガティブ効果は、45歳以下の労働者では、特に仕事が安定している人にとっては、殆どみられません。
また、一般的によく言われるような「憧れの早期の退職(Early Retirement)」は、実は、思っていたほどには輝かしいものでもなければ、寧ろ弊害の方が多いと英誌エコノミストは指摘しています。 特に、自分の意思に反して退職した人(失業した人)は、その人の自信や威厳を傷つけるだけでなく、社会に対して希望を持たなくなってしまいます。また、別の調査では、ブルー ワーカーの早期退職は、更なる弊害をもたらすと警告しています。 と言いますのも、そうした早期退職者の平均寿命は、定年退職した人に比べて、13%も寿命が短く、その理由としては、酒やたばこに溺れる傾向が高いためと考えられています。
最後に英誌エコノミストは「もし、今、あなたに仕事あるのなら、たとえそれが安月給であっても、それにしがみつきなさい!」とアドバイスしています。
これを読んだ私は、「うっ!?痛いところをついてくるなあ!」と思わず唸ってしまいましたが、暫くして逆に「そんなことは百も承知で会社を辞めて、こうやってオーストラリアに来たのに冗談じゃあない! こんな“しょう〜もない”研究結果に負けてたまるか!」とメラメラと闘志が燃え上がり、 そして「フン!酒とタバコをやめればいいだろう?!やめれば!!」と言ってみたのですが、私の机の上にはビールの空き缶で、ピラミッドが、、、、、。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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3 comments on “年齢と幸福観”
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QLDはXXXXですねー。私はどちらかというとVBの方が好きですが。。。。乾燥した気候の中で飲むビールは最高です。
ろくでもない研究結果など気にせずに豪州の生活をエンジョイなさってください。
個性の違いが現れない・・・
癌で余命わずかの父を見舞いに来た息子を車で職場まで送ってやり、結婚にも仕事にも挫折している息子に車の中で「私はもう死ぬが、お前に言っておきたい事がある、人生は糞だ、これははっきり言える」と言って、息子は何も答えず涙をボロボロと流すだけでお互い見つめ合い、暫くして車外に出た息子が窓を通して見つめ合って頷いて会社に向かった、これが最後の親子の会話になった、なぜ父が「人生は糞だ」なんて言ったのか分からなかったが、何年かして、ウイキペディアで実存主義の項目を読んでいた折、あ、あの映画は実存主義の映画だったんだと、父が言いたかったのは「人生は糞みたいなもんだから、自分の好きに自由に生きていいんだぞ、自分のやりたい事をやっていいんだぞ、でないと馬鹿らしいぞ」と言いたかったんだなあと気付きました、幸福はこれに尽きるんじゃないんでしょうか。