2017/10/31 05:16 | 昨日の出来事から | コメント(0)
BOE、今週にも政策金利引き上げか?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
イギリス中銀によって、これまでの金融政策は極端に低い政策である。 と言うのも、現在のような超金融緩和政策は323年の歴史にあってなかったことだからである。2008~2009年の金融危機以来、イギリスのベース レートは0.5%に引き下げられた。 更に、2016年のイギリスのEU離脱を決定後に多くのエコノミストが予想したのはイギリスの景気後退であったために、更に政策金利が0.25%引き下げられて、現在の政策金利は0.25%である。中央銀行は、その量的緩和政策の下、400bnポンド(525bnドル)の国債を買い取った。それが、ここにきて最近の金融政策委員会(MPC: Monetary Policy Committee)のメンバーが政策金利の引き上げをほのめかし始めた。
今の処、インフレ率は3%であり、中央銀行の目標である2%を越えている。しかし第3四半期のGDPは+0.4%に留まり、これを見る限りは政策金利の引き上げは不必要である。11月の2日には、MPCの9人のメンバーの多くは、政策金利の引き上げに賛成すると予想されている。政策金利を引き上げはは2003年以来の金利サイクルの中で初めてことであるが、本当にこうした行動に出ることが望ましいか議論に値する。 我々の英誌エコノミストは、現行政策金利の維持を支持する。
「何が急がせるのか?」
(現行政策金利維持を支持する)1つ目の理由は、イギリスのEU離脱の脅威は、まだ終わっていないからである。メイ首相は、EUとのこれまでの取り決めを維持しながら離脱に向けた手続きを始めたがっている。しかし、事態は彼女が考えているより厳しい状況にある。手続き開始の期限は12月のEUサミットに迫っている。こうした中、イギリス中銀がその時期を待たずに政策金利を引き上げる事は不必要なリスクとなるかもしれない。
(政策金利を維持すべき)もう一つの理由は、イギリス経済が過熱していないからである。 インフレ率が高いのは、去年からのEU離脱以降の通貨安によるものであることは市場のコンセンサスである。 たとえ、中銀が何もしなくても、為替効果が一巡すれば、インフレは早晩沈静化する。
インフレに対するタカ派は、GDPの成長率は潜在的成長率を上回っていると指摘している。また、失業率は4.3%と歴史的な平均水準を下回っていると指摘する。 しかし賃金の上昇は限定的であり、年率2%を超えたばかりの水準である。このことは労働市場において引き続き需給の緩み(Slag)があることを示しており、低い失業率が過去のようにインフレ高騰を招く状態ではないことを示している。
タカ派の中には、金利を引き上げることは、家計に対して借り入れに対して慎重にさせる効果があると指摘する人もいる。イギリスの家計は総じて健全である一方で、人々の中には(特に貧しい人々は)、借り入れを多くしている。しかし、中央銀行はマクロの金融政策を効率的に運営するのが役割であり、貸し出しが適正に行われることによって金融の不安定を回避するのは規制当局の役割である。
更に、イギリス経済は、非常に金利感応度の高い経済である。住宅ローンの40%が変動金利であり、それらは、基本的にはベース レートに連動している。また、固定金利であっても、頻繁にファイナンスの変更が必要となる。一方で、アメリカでは、80%の住宅ローンが長期固定金利となっている。
多くの家計のファイナンスは、政策金利の引き上げには十分対応できるであろう。 しかし、数十年振りに初めて政策金利の引き上げる事のインパクトに対する不確実性は、たとえ金融政策委員会のメンバーが「引き続き金融政策は緩和基調である」と言っても残る。と言うのも、多くの人々は、(ひとたび政策金利を上げれば)更に政策金利は上がると期待するからである。 もし、これによって彼らが支出と控えたら、経済はダメージを受ける。
今回のMPCの問題は、「初めに政策金利の引き上げありき」になってしまっている。もし、銀行が政策金利を引き上げなければ「金融政策が不透明である」と批判されるであろう。しかし、それだけのことである。 政策金利の引き上げをもう少し待ったところでダメージは限定的である。 反対に、政策金利を早く引き上げ過ぎると、そのダメージが相当大きいこともあり得る。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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