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2017/07/19 06:00  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

RBA、定例理事会議事録から


おはようございます。

昨日、RBAは7月4日に開催された定例理事会の議事録を公開しました。 主な内容は以下の通りです。

(1) RBAは現行政策金利の据え置きを決定した。 その上で、RBAは将来の中立的な金利水準を議論し、現在の1.5%から200bp高い3.5%が中立であるとの結論に至った。(これまでのオーストラリアの中立的な金利水準は5%程度との認識でした)。

(2) 最近の労働市場における失業率の低下は、現在の政策金利が妥当であるとことを示しており、更には、賃金の下落リスクを回避する事に寄与している。

(3) 海外では、カナダやアメリカのFRBのように政策金利に対してタカ派的な動きがみられるが、現在の豪に関しては、そのような動きを急ぐ必要はない。

(4) 現在の豪の住宅市場は調整局面入りをしており、我々はこの動向を注意深く見守っているところである。

(5) 現在の為替水準に関しては、我々としては満足しており(割高感はなく)、その事が豪経済を下支えしている。

今回の議事録に関して、市場では、RBAが将来的な政策金利の中立水準の議論を始めたことに驚きを持って捉えられ、「豪金利は金利上昇サイクルに入った」との考えが市場内に広がり、為替市場では豪ドルが他通対比で買われ、豪株は売られています。

Capital Economicsのチーフ エコノミストPaul Dales氏は「今回、RBAが将来の政策金利の中立水準を議論した事から、現在の政策金利1.5%から金利上昇サイクルに入ったと考えるべき」とする一方で、「現時点では、RBAは、政策金利の引き上げを積極的に望んでいない」とコメントしています。

また、Westpac のチーフ エコノミスト Bill Evans氏も「政策金利の中立水準の議論は、明らかに金利サイクルがこれまでの緩和サイクルから引き締めサイクルの替わりつつあることを示している」と指摘する一方で、「現在のインフレや賃金、更には消費者動向や住宅市場を見る限りにおいて政策金利の引き上げはなく、今回のRBAの議論を対し、市場は過剰に反応すべきではない」とコメントしています。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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