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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2017/07/07 05:52  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

Made in Chinaの金融資産がやってくる?!


おはようございます。

先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

中国製品は、この30年間の間に、靴からシャツ、更には電話に至るまで世界中どこにでも存在する。しかし、その中にあって殆ど存在しないものがある。 それは、中国製の金融資産である。海外の投資家による中国証券の保有比率は2%未満である。 背景には中国当局による資本規制や市場リスクの高さが投資家を遠ざけてきた。 しかし、中国のグローバリゼーションがゆっくりと中国金融市場にも広がりつつある。

世界的な株式指数であるMSCIは、6月20日に中国株式を2つのベンチ マークに取り入れることを決定した。一つ目は、エマージング マーケットの指標に組み入れることであり、もう一つはグローバルの株式指標に取り入れることである。 これによって、中国の3000の上場株式の内、222銘柄を採用する。 これによって、ファンド マネージャーはベンチ マークであるMSCIに対抗する為に中国株をファンドに取り入れる必要が出てきた。 更には中国の取引所で中国株の取引をする必要が出てきた。 これは、中国の株式市場に取って初めてインパクトとなる。 これによって来年には10bnドル(日本で約1.1兆円)の資金が流れ込むことになり、それ以降もその資金は増加する。

これは画期的な決定である。現在の中国経済は世界のGDPの15%を占め、上海と深圳で取引されている株式の出来高は世界第2位である(しかし、そのほとんどが国内投資家向け)。MSCIは過去3年に亘り、株式売買に制約の多い中国株式を指数に取り入れるかどうか議論してきた。

海外の投資家が、中国市場にアクセスするには中国政府の厳しい資本規制の下、多くの制約があった。海外の投資家は、非常に限られたチャンネルを通じて、しかも限られた割合でしか売買できない。 しかしMSCIは、こうした多くの懸念材料は香港市場に上昇している中国本土の株を買う事で解消できると判断した。

海外の投資家は、既に中国株を保有しているが、これらは香港やアメリカに上場している株である。こうした海外で上場している中国株のエマージング株指数に占める割合は既に28%になっている。 しかし、中国本土の株は、もっと価値があり、また、より広く中国経済をカバーしている。 例えば、年金や大学のファンドは既に中国の伝統的な漢方薬の企業やBiaijiu(白酒)の企業の株を保有しているが、それは、インデックスに対抗する為に補完的に保有しているに過ぎない。

中国のファンド マネージャーは、今回のMSCIの決定によって、より中国株が投資家に魅力的になることを期待している。しかし、海外の投資家は中国株に対して尻込みをしている。と言うのも、中国の株式市場は、いまだにインサイダー取引が横行し、価格操作がなされているからである。また、2015年には、中国株のバブル崩壊後、中国当局が中国株式市場にあからさまに介入した事も海外の投資家の記憶に残っている。

中国債券も同様に世界の金融市場に取り込まれようとしている。5月に中国の中央銀行は、海外の投資家が香港の債券市場を通じて本土の債券を購入する事が出来る事を発表した。 このプログラムは7月から実施され、 中国政府の債務(国債)購入の途を開くことになる。ここでも、中国の債券市場と海外の投資家の債券保有のギャップは明らかである。中国国債の発行残高は世界で3番目に多いが、世界の債券市場から除外されている。 ゴールドマン サックスのアナリストは、中国国債がグローバル インデックスに組み入れられると2020年までに250bnドル(日本円で約28兆円)の資金が中国国債に流れ込むと試算している。

上海にある資産アドバイザー会社Z-Ben Advaiser のPeter Alex氏は「投資家は今後、自らのポート フォリオの15%を中国国債を買わなければならない。しかし、現状は、殆ど ゼロである」と述べている。中国株や中国国債がインデックスに組み込まれることは、単にテクニカル的(技術的)なもののように思われる。彼らは、ただ、投資家が中国株や債券にアクセス出来るがどうかだけで判断し、その価値や将来の見通しから判断していない。 しかし、このことは非常に象徴的な出来事である。 象徴は時として非常にパワフルになる事がある。 グローバル市場の開放を牽引してきた人にとって、(今回のインデックス採用によって)中国は、遂にビジネス(市場)を解放したと考えている。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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