2017/05/12 04:52 | 昨日の出来事から | コメント(0)
加速するユーロ経済?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
GDPの示す処は、当該地域の経済がどの程度良いかを示す統計の一つとみなされている。 これに従えば、現在のユーロ経済は本当によくなってきている。5月3日に発表された2017年第1四半期のユーロ圏のGDPは前期比で+0.5%、年率換算で2%であった。これは、先日発表されたアメリカの年率0.7%よりもはるかにいい数字である。
恐らくこうした数字には2つの経済の間で過大評価されている部分(あるいは過小化されている部分)があって、第1四半期のアメリカのGDPの数字は、今後、上方修正されるかもしれない。それにしても、アメリカ経済が一時的に失速したとはいえ、第1四半期のユーロのGDPは景気拡大が加速してきていることを示している。
例えば、3月のヨーロッパの自動車販売は、世界第2位のアメリカ(第1位は中国)のそれを上回っている。また、製造部購買指数によれば、4月のユーロ圏の製造業は6年振りの高水準である。 その一方でアメリカの指数は下落している。
いいニュースは製造業だけに留まらない。サービスや製造業をリサーチする会社によれば、4月のECの経済センチメントは、製造業、建設業、消費者全てのセンチメントが10年振りの高水準となっており、その回復の規模はアメリカよりも広範囲にわたる。その一方で、出遅れているものもある。ユーロ圏の失業率は9.5%であり、アメリカの4.5%には遙か及ばない。
アメリカとユーロの金融政策の違いは、それぞれの地域の景気回復の段階の違いから来ている。アメリカのFRBは、緩やかに政策金利引き上げを始めており、一方で、ECBは、これまでの金融政策を維持したままである。4月27日のECBの理事会ではゼロ金利の維持と銀行に対するマイナス金利(-0.4%)維持を決定した。また、国債買取りに関しても今年末まで毎月EU60bn(USD66bn:日本円で約7.4兆円)を変更しない事を決定した。ECBのドラギ総裁は、早急な政策金利の引き上げに対して全くその意思がない事を市場に示している。彼は、将来的にユーロ経済が再び失速するリスクを認識しつつ、現在のユーロ圏のインフレ率は引き続き低い水準にあると主張している。
また、彼は、中国の山のような債務問題や、トランプ大統領の保護貿易主義に対して懸念を示している。選挙に関しては、彼の出身地であるイタリアの選挙以上にフランスの大統領選挙の結果次第では、経済の妨げになるとの認識を示した。更に、この週(5月3日の週)には、ギリシャ政府と債権団との交渉が合意に達したものの、この問題は引き続きユーロにまとわりついている。しかし、それでもこうした不安材料を抱えながらも、ユーロ圏経済は力強さを増している。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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