2017/03/09 05:25 | 昨日の出来事から | コメント(0)
本当に中国は為替操作国?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関連した記事がありましたのでご紹介したいと思います。
ドナルド トランプ氏が大統領に就任していて以来、彼は中国を「為替操作のグランド チャンピオン」と言って批判を繰り返しているが、彼の政府高官も言っているように、トランプ氏のこうした発言は「(かつてはそうであったが、今は)時代遅れ」であるとコメントしている。
アメリカ財務省は6か月ごとにアメリカの貿易相手国の為替政策について、多くのエコノミストが不均衡と見なしている貿易に関する評価をしているが、これには国内の購買力を含んでいない。これに従えば中国はとても為替操作のチャンピオンではなく、極めて静かな存在である。
財務省は、以下の3つの手法を使って為替を評価している。一つ目はどれくらい貿易黒字であるかどうか、2つ目は経常黒字がGDP対比で3%以上あるかどうか、3つ目はその通貨ベースで1年にGDP対比で2%以上対外資産を取得しているかどうかで判断している。 過去1年間でこの3つのカテゴリー全てに該当した国はない。また、中国は、この3つのカテゴリーの1つ(貿易黒字)に該当しているに過ぎない。
財務省は、貿易相手国のリストを公表していないが、英誌エコノミストがこれらを独自に通貨操作スコアで評価した。 例えば、為替操作1ポイントはGDP対比3%の貿易黒字、2ポイントはGDP対比6%の貿易黒字である。 同様に、為替操作1ポイントはGD対比2%の対外資産の取得とし、同GDP対比4%を2ポイントとした。 ただし、これはアメリカとの2国間の貿易だけに限定しなかった。と言うのも例えば、メキシコはアメリカに対しては大幅な貿易黒字であるが、残りの世界の国々を含めると大幅な貿易赤字であるからである。
これに従って主要国の為替操作スコアを算定すると、最も為替操作スコアが高いのはスイスの8ポイントであり(大幅な貿易黒字と対外資産の購入)、続いて台湾の5ポイント、ドイツと韓国の3ポイントなる。 そして中国は殆ど0ポイントと殆ど為替不均衡がないことを示しており、その背景には資本の海外流出が続いている事がある。 確かに10年前の中国は10ポイントと為替操作のチャンピオンであったが、「現在の中国人民元はもはや割安ではない」とIMFも認めている。 つまり、これに関しては、ドナルド トランプ氏は「敗者」である。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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