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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2011/04/19 05:28  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

キャリー トレードは、キャリー オン ?!


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに今年に入ってからの為替(米ドル、ユーロ、円)と金の動向に関する記事がありましたので、ご紹介したいと思います。

今回は、2011年1月3日を100として、名目為替を加重したレートを使って比較してみると、ユーロは2011年4月時点で109と、この3カ月間で9ポイント上昇しています。 その次の上昇したのは金で、4月時点で103と今年に入ってから3ポイント上昇しています。 そして逆に安くなっているのが円で、大震災後に一時的に買われた時には105近くまで上昇しましたが、現在は97.5と現時点では2.5ポイント低下しています。 そして、最も安くなっているのが米ドルで、現在は96で今年に入って4ポイント低下しています。

ユーロは、2010年以降、ギリシャ支援、アイルランド支援、そして今月に入ってポルトガル支援と通貨の信認が問われる出来事が続きましたが、今年に入ってからは、域内のインフレ進行から、ECBが政策金利をそれまでの1%から1.25%に引き上げ、更なる政策金利引き上げ期待が市場内に根強くあることから、ユーロは買われ易くなっています(結局のところ、ファンダメンタルズよりも目先の金利先高期待に反応した形)。

一方で、円は、大震災直後は日本企業の海外資産のリパトリエーション(repatriation:国内への資金還流)期待から、一時的に円高が進行しましたが、G7の協調介入で円高は阻止されました。 これまでの円は、スイスフランと並んで、何か不測の事態が起きた時の安全通貨として買われる傾向にありましたが、今回の大震災を受けて、円の安全通貨としての地位を失いつつあること事が、目先の円安の背景にあるようです(安全資産としては、スイスフランと金がその地位を守っています)。

そして、米ドルですが、オバマ大統領は2012年の大統領選再選を目指す事を宣言しましたが、彼が2009年に「輸出を5年以内に2倍に増やす」公約を果たす為には、米ドルは更なる米ドル安政策を押し進めてくる可能性があるとエコノミストは指摘しています。

つまり、「これまでもそうであったように今後も、金融緩和政策を継続する通貨を売って(米ドルや円を売って)資金調達し、それと引き換えに金利先高観のある通貨で運用するキャリー トレード(Carry trade:ユーロや豪ドルで運用する)を キャリー オン(Carry on: 継続)すべき!」とエコノミストは締めくくっています(でも、エコノミストでこんな記事が出ると、「これまでの円安も、そろそろ終わりに近いかな」と、私のあまのじゃく根性が出てきています)。 

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One comment on “キャリー トレードは、キャリー オン ?!
  1. ベルドン より
    天邪鬼根性・・

    はい・!・・
    あたりー・!

    英国・・EC・・匍匐前進してますな・・
    万歳突撃はない・・
    ないにしても・・
    円・・安きにつれ・・高きにつれ・・持ちつ・・持たれつ・・
    この世は・・深情け・・・

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