2011/04/12 05:38 | 昨日の出来事から | コメント(1)
投資に関する群衆心理
東日本大震災から1カ月が経ちましたが、改めて被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。
また、昨日は大きな余震があり、さぞかし不安な日々をお過ごしのこととお察し申し上げます。
特に、関東地方にお住まいの方は、今回の福島第一原発事故の拡大を懸念して、スーパーやコンビで非常食を買い求めた為に商品がなくなり、その事が更に大衆不安心理を煽り、慌てて買われた方もいらっしゃったのではないかと思います(私も、東京に住んでいれば、あの状況下では、万一に備えて、それこそ形相を変えて(?!)買い込んでいたに違いありません)。
それに関連してと言う訳でもありませんが、今週の英誌エコノミストに、金融の世界における群集心理に関する記事がありましたので、ご紹介したいと思います。 群集心理と言えば、一般的には、例えば、デパートで人だかりがあれば「そこでバーゲンをやっている」と買い物客は殺到し、銀行の支店に列をなしていると、人々は「その銀行経営が危なくて預金者がお金を引出しに来ている」と人々は更に殺到します。
こうした大衆の動きは、一般社会では正しいことも多いのですが、投資の世界では、そうした群衆行動は正しいのでしょうか?
この事について、英誌エコノミストは2000年から2010年までアメリカのミューチャル ファンドを使って検証しています。 検証方法は単純で、手元資金を過去12カ月間にパフォーマンスの良かったファンド(人気のあったファンド)に投資すると、その後はどうなったかを調べたものです。 結果としては、人気のあるファンドを購入しても、それらのファンドの60%は、その後、12カ月後のパフォーマンスでは、ミューチャル ファンド全体の平均値を3%も下回ってしまいました。
また、更に群衆心理が有効に機能しない別の例として、「投資銀行や株式ブローカーのアナリストが取りまとめた収益予想は、長期的な株価価値や株価予想に予想として利用されてきたが、過去25年においては、こうしたコンセンサス予想(マーケットの総意予想)は、常にそのベンチマーク(GDP成長率)を大きく下回り続けてきた」と指摘しています。
そこで、英誌エコノミストは「結局のところ、群衆心理がうまく機能する時とは、その予想が他の人の考えに影響を受けずに全く独立している時(誰の考えにも影響されない時)だけであって、ひとたび他の人が自分と同じ事を考え始めたと分かった時には、その考えは過ち(失敗)への道を辿ることになる」としています。
ちなみに、先程のミューチャルファンドの検証の続きとして、今度は大衆心理とは逆に、過去12カ月間に最も人気のない(パフォーマンスの悪かった)ミューチャル ファンドに投資するとどうなるかと言えば、その後、12カ月後のパフォーマンスは、やはりミューチャル ファンド全体の平均値を2%も下回ってします(あまのじゃく心理もダメ!)。
それでは、 「どうするのが一番いいのか?」と言えば、長期投資に際しては、インデックス投資(自分の恣意的な考えを入れずに平均的に投資する事)が、結局のところ、最もアウト パフォームすると言いたいようです。 「果報は寝て待て!」という事でしょうか。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “投資に関する群衆心理”
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ご了承のうえ、ご利用ください。
というより・・
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」
では・?・・・