2012/03/29 06:09 | 昨日の出来事から | コメント(1)
まだ、間に合う?!ポルトガルの財政再建??
ギリシャ危機は、すったもんだの末、目先的にはひと段落し、今後は、ギリシャが財政再建を計画通りに出来るかどうかに関心が移りつつあります。 この結果は、今後、半年もしくは1年程度たたないとその成果は分かりません。
さて、今週号の英誌エコノミストにこれまでのしばしば言われてきたPIGSの2番手ポルトガルに関する記事かありましたので、ご紹介したいと思います。 ポルトガルの主な産業は、かつては世界の海を制覇した事からもお分かりのように、海運業が最も大きな産業です(日本で言えば、自動車業界と電気業界を足し合わせたようなもの)。
ところで、ポルトガルの海運業、特に港湾産業は半官半民で、港湾関連の土地と海上権は国が管理し、港湾施設やこれに関連する鉄道やトラック事業を民間が分担しており、1990年代まではそれなりにうまく運営されていました。 しかし、ポルトガルがユーロの参加する事によって、それまでの割安なポルトガル 通貨エスクードからユーロに移行された為、急速に国際価格競争力を落しました。 更に、この業界は、より大きなコンテナに対応できる港湾施設、更には、荷物の積み下ろし効率や荷降ろし後の最終目的地までのアクセスの良さで勝負が決まります。
もともとヨーロッパでは、オランダのロッテルダムや、ドイツのハンブルグ、デンマーク、更にはお隣のスペインのバレンシアといった競争相手にポルトガルは健闘していたのですが、最近ではこうした競争相手との差を開けられる一方です。 その背景には、(1)先ほども述べましたがユーロ通貨では国際競争についていけない、(2)港湾施設の老朽化に対し、これを更新する資本が集まらない、(3)組合が強く、労働の自由が効かない等といった理由が挙げられます。
これに対応するためには、当然のことながら、「国際競争力を回復するための施策が必要であり、組合を何とかしなければならない」とお決まりのセリフが出てくるのですが、今回英誌エコノミストは、「それ以上に、港湾ビジネスそのものをイギリスや、オーストラリア、あるいはニュージーランド等の外資系企業に売却すれば、手元に1bnユーロ以上の資金を得、(更には港湾関連労働組合を解散させる事が出来るので)、港湾ビジネスの効率が上がり、収益もより高いものになるのではないか」と提案しています。
逆に言えば、こうした施策を、今、打たない限り、ポルトガルもいずれはギリシャと同様の財政危機に陥り、今なら1bnユーロで売却できる資産も、財政危機に陥ってから売りに出せば買い値を叩かれ、結局は二束三文でしか売れない事を暗に示唆しています。
やらなければいけない事が分かっていても、なかなか出来ないのは、洋の東西を問わず、また時代を問わず同じ事のようです。 そういえば、東方の日出国でも、、、、。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “まだ、間に合う?!ポルトガルの財政再建??”
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忠告と・・
甘い罠との区別は・・難しい・・・