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2015/12/29 05:24  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

EU、2016年の鬼門はイギリス?!


おはようございます。

先週号の英誌エコノミストに「Battle with Britain」と題する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

2015年のユーロは、様々な問題に悩まされ続けました。 2012年のギリシャ問題が尾を引き、ウクライナ問題ではロシアと対立し、今年に入ってからはシリア問題、それに絡む難民問題がユーロに重くのしかかりました。 そして、EUにとって2016年には新たな難問が立ちはだかっています。何故ならば、これまで懸案とされてきたイギリスがEUに留まるかどうかの国民投票が2016年に予定されているからです。

イギリスは、今年に入ってEU域内にシリアなどからの難民が急増していることを受けて、既に、EUで決められている域内での人々の移動の自由と難民労働者に対する支援(就業までの生活費、語学研修費、労働スキル習得のための職業訓練)を4年間先送りすることを要求しているのです。 当然のことながらドイツやフランスはこうした要求を認めるわけにはいきません。 しかし、イギリスは、ご存知のようにEUには加盟していますが、通貨ユーロに加入する際、国民投票によって否決され、2017年までに通貨ユーロ加入の是非を改めて国民投票する事が決まっており、もし、国民投票で再び否決されると、EUからの離脱の可能性も出てきます。

これを現在のキャメロン政権が交渉の道具に使って自分たちに有利な参加条件をEUのための改革と称してEUに迫っているのです。 今回のイギリスの要求は、EUの根幹(シェンゲン協定:EU域内の国境の撤廃)に関わるものであり、もし、これを認めてしまうと、現在のEUに加盟している国の中には(特にデンマークやオランダ)も同様の動きと取る可能性があり、そうした事態になればEU存続のための根幹そのものを揺るがしかねないのです。

その一方で、EUはこうしたイギリスの要求を真っ向から拒否できるかと言えば、フランスもドイツもそしてEU加盟国全てのメンバーもそれを望んでいません。と言いますのでも、EUにおけるイギリスのプレゼンスは、特に安全保障や防衛に関して絶大なものがあるからです(かつての大英帝国時代の支配の国々、いわゆるコモン ウェルスに参加している国々に対する影響力)。

2016年のEUは、いまだ解決されていない山積みになった難問に加え、新たにEU存亡に関わるイギリスとの交渉を控えており、その前途は多難です。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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