2015/12/02 06:03 | 昨日の出来事から | コメント(0)
RBA、政策金利据え置き
昨日、RBAは定例理事会を開催し、現行の政策金利据え置きを決定しました。 事前の市場関係者のほとんどの予想も政策金利の据え置きでしたので、市場はこれを冷静に受け止めました。
理事会後のRBA総裁の声明では「豪主力商品である鉱山商品価格が下落する中、足元は労働市場の改善が見られ、企業収益予想が上向いており、現行の政策金利を維持することが妥当であると判断した」としながらも、その一方で、「豪経済が今より下振れるようであれば、金融政策の運営についてはいつもで適切に行う」と述べ、政策金利の引き下げについても柔軟に対応する姿勢を示しています。
尚、今後のRBAの政策金利については、市場関係者は2016年前半にあと1回、もしくは2回引き下げるとの見通しが大半を占めており、引き続き、市場金利には引き下期待があります。
また、この日、ABSは、10月の住宅着工許可件数を発表し、季節調整後で前月比4%増加して20,000件でした。その内、マンションなどの集合住宅前月比で11%も増加しています(尚、マンションなどの集合住宅は月毎に大きく変動する傾向があります)。
更に、民間のAIG(Australian Industry Group’s)が発表した製造業パフォーマンス インデックスは前月比2.3ポイント上昇して52.5ポイントなり、業況感の分岐点である50ポイントを大きく上回り、足元7か月中6か月が50ポイントを上回っています。 これは2010年以来5年振りのことであり、足元の製造業はRBAによる低金利政策と為替市場の豪ドル安を背景に製造業の景気が回復していることを示しています。
AiGroup の会長 Innes Willox氏は「豪製造業は、これまでのコスト管理の徹底と効率化に加え、為替市場における豪ドル安によってここ数年来にない拡大を続けている。 更に、国内住宅建築の好調さがこれを後押ししている」としながらも、「10月は、ビクトリア州などの祭日の関係で製造業の数値がテクニカル的に低下した部分があり(この月のPMIは1.09ポイント下落、更に2017年に既に閉鎖撤退することが決まっている自動車関連産業や政府のインフラストラクチャ―投資の抑制が数字を押し下げている」と指摘しています。
一方で、この日、民間の住宅価格調査会社CoreLogic RP Dataが発表した11月の豪の住宅価格は前月比で1.5%下落しました。 これは過去6か月間で初めて下落に転じ、更に、その下げ幅は18か月ぶりの大きさとなっています。 特に、これまで上昇幅が大きかったメルボルン、シドニーにおいて、今回は3.5%、1.4%とそれぞれ下落しています。
CommSec economist Savanth Sebastian氏は「シドニーにおける住宅価格のこれほどの下落は5年ぶりのことであるが、それでも前年同月比で13%も高い」と指摘しています。
また、CoreLogic RP Data のヘッド リサーチのTim Lawless氏も「シドニーやメルボルンの住宅価格は今年に入って失速し始め、今年の11月にまでその傾向が続いている」とし、「これらの背景にはRBAや金融監督庁による貸し出しの厳格化や、これに伴う銀行のローン金利引き上げがある」とコメントしています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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