2015/08/20 06:19 | 昨日の出来事から | コメント(1)
資本主義の終焉?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
資本主義の終焉に関する議論は、古くは1980年代のインフレ化の不況(スタグフレーション)の頃から幾度となく議論されてきましたが、こうした議論の背景には、それまでの資本主義経済の理屈では世界経済が機能しなくなった時に議論されてきたように思います。
今回、英誌エコノミストは、2008年のリーマンショックが起こった際に世界経済が直面した金融恐慌の危機を、世界各国は財政出動と超金融緩和政策の発動によってこれを何とか回避することが出来ましたが、その後の経済政策は行き詰って身動きできなくなってしまった状況を一部の経済学者が「資本主義の終焉」としてを議論してる内容を紹介しています。
例えば、Paul Mayson の「Postcapitalism:ポスト 資本主義」では、これまでの資本主義の根幹哲学の一つであった私有財産制に関する考え方が、現在では「Sharing Economy」といって、人々は必ずしも「物」の所有にこだわらなくなり、他人とシェアする社会の仕組みに移行しつつある事を紹介しています。
また、Jeremy Rafkinは「The Zero Marginal Cost Society」の中で、「インターネットの普及によって、情報や既存の「物」の価値が非常に競争的になり(あるいはほとんどゼロになり)、これによって資本主義が機能しなくなってきている」と述べています。
これに対し、英誌エコノミストは、確かにインターネットの普及によって既存の様々なビジネス モデルは機能しなくなってしまったが(あるいは儲からなくなってしまったが)、その一方で、新しいビジネスの可能性(儲かるビジネス)がそれ以上に創造されているので、これをもって資本主義の終焉を議論するのは未熟であるとしています。
また、これまで20年間に起こった大きな変化の一つに、私たち労働者に対する考え方の変化があります。 例えば、それまでの終身雇用や年功序列の考え方は、もう機能しなくなってしまいました また、以前のように自分のスキル(能力や技能)さえあれば労働機会が必ずあった時代から、自分のスキルをマーケティングしなければならない時代(あるいは、マーケットのニーズに自分のスキルを合わせる時代)に変化してきています(かつてのように労働力を資本家(経営者)に提供さえすれは、その対価として賃金が得られた時代とは様変わり)。
英誌エコノミストは「確かに、現代社会はかつての資本主義社会を謳歌していた時代とは大きく変貌しつつあるが、だからと言って、それをもってして資本主義は終焉する(あるいは終焉した)と言った議論をするのは「時期尚早である」と述べています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “資本主義の終焉?!”
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資本主義をダメにしているのは中銀による
低金利政策なわけですから、アメリカの金利上昇と
共に資本主義は復活するはずですよ
それより、他人の事をグダグダ言う前に雑誌の
販売数を伸ばす討論をしたらばどうなんでしょうか?
自らの身も御せないものが、言っても誰も聞く耳を
持たないでしょう(笑)