2015/07/17 06:16 | 昨日の出来事から | コメント(0)
2015年前半の世界金融市場を振り返って
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
英誌エコノミストは、今年前半の金融市場の出来事を3つのポイントから総括しています。
まず、一つ目は、政治的要因で金融市場が大きく振り回された点を挙げています。 思い出される出来事として、年初に、ホルムズ海峡が封鎖されるリスクが高まり、原油価格が高騰しました。 その後は、アメリカの財政赤字上限法案を巡って、オバマ政権と議会の対立からアメリカ財政のテクニカル デフォルトのリスクが高まりました。 ヨーロッパでは、イギリスのスコットランドにおいて独立の是非を巡って国民投票が行われました。 また、ロシアではウクライナ侵攻を巡ってヨーロッパやアメリカとの対立が激化しました。 そして、最近では、ギリシャの財政支援を巡って、ギリシャが6月30日にIMFへの借り入れ返済が出来ずに実質的なデフォルト リスクに発展し、ギリシャのユーロ離脱の可能性にまで発展しました。
2つ目としては、世界の金融市場がこれまで以上に中央銀行に依存する傾向が強くなりました。ヨーロッパでは、ECBによるギリシャの銀行への流動性供給(貸し出し)を巡って、世界の株式市場や債券市場は大きく乱高下しました。 また、アメリカでは、FRBによる政策金利の引き上げの時期を巡って金融市場は非常に神経質になっています。
そして、3つ目のポイントとして、世界的な金余り現象の負の遺産として流動性が極端に落ちる現象が起こり、ちょっとした出来事から市場が乱高下しています。 例えば、ヨーロッパの国債市場では、0.5%近辺で取引されていた10年物の国債市場が一気に0%近辺まで買われたかと思えば、今度は逆に1%付近まで金利が急上昇しました。 また、ギリシャのデフォルト リスクが高まった事によって、株式市場や債券市場が乱高下しています。 更に、お隣の中国でも、株市場が1年間で2.5倍に上昇したかと思えば、僅か3週間で30%以上の暴落する事態が起きています。
このように2015年前半を振り返ってみましたが、さて、2015年後半を見てみますと、金融市場の参加者の多くは、引き続き世界経済の拡大と企業業績の上昇を期待している向きが大勢です。 しかし、もし、こうした期待に問題が生じた時には、世界の金融市場は、より乱高下する可能性があると英誌エコノミストは警告しています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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