2015/06/05 05:54 | 昨日の出来事から | コメント(2)
中国株バブルの行方は?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
まず、英誌エコノミストは、今日の世界的な株価上昇傾向の中にあって、中国株の上昇ぶりは異常であり、特にこの1年間の株価上昇はバブルそのものであると指摘しています。
例えば、中国本土の株価指数CSI300はこの1年間に2倍以上に上昇し、ChiNext(深圳のNASDAQバージョン)はこの1年間に300%も上昇し、特に、Qtone(オンライン 教育会社)の株は、同期間に何と13倍にまで上昇しています。
その異常ぶりは、IT企業を中心にPER (Price Earning Ratio)は64倍で、中小のIT企業に至っては80倍にまで株価が上昇しています。 一般的にはPERは25倍程度が平均的な水準と考えられていますが、先程のChiNextのPERは昨年の利益の140倍とバブル以外何ものでもありません。
こうした株価上昇の背景には、まず「偉大な愚か者」である個人投資家が大量に市場参入している事が挙げられ、今年の4月だけで4百万の新規口座開設がなされ、その内の3分の2以上は15歳未満の個人です。 そこに、企業側も、古典的な建設企業までが、名前だけをハイテク IT企業名に変えるただけで株価が一気に上昇する有様です。
更には、資金面では株式担保借り入れが急増し、過去1年間で4倍以上に増加し、その借入残高は今や2兆元(325bnドル:日本円で390兆円)に達し、総発行株式に対する株式担保借り入れの割合は9%となり、他の主要先進国の株担保借り入れの比率対比5倍と異常なまでに突出しています。
ここまで指摘すると、読者の皆様は、「中国のバブルが弾けたら、きっと中国経済は壊滅的だ」と思われるかもしれません。 しかし中国の株式市場規模は、中国のGDP対比40%と小さく、ChiNextに至っては10%にも満たないのです(一方で、ほとんどの主要先進国の株式市場の規模はGDP対比100%を越えています)。 つまり、もし現在の中国の株式バブルが弾けても、その影響は、かつて私たちが1990年代に経験したバブル崩壊ほど、経済的なダメージが大きくない可能性が強いのです。
英誌エコノミストは、現在の歪(いびつ)な中国株式市場の現状を改善する為には、(1)まず、株式市場の運営上のルールを円滑化する必要がある(ある市場ではサーキット ブレーキ機能があって、他のマーケットではない)。 (2)更には、企業の資金調達をこれまでの銀行依存型から、株式発行や株式上場をより容易かつ円滑に行うことによって株式市場の規模の拡大を図ることで大量に流入する投資資金を吸収する株式市場を育成る必要があると述べています。
そして、最後に「現在の中国株式市場は、クラッシュするかビッグ バンを起こすかのどちらかである。 どんな市場においてもある程度のバブルは避けて通れない。しかし、その中にあって、それぞれの市場は、改革や規制緩和を行うことによって市場の歪みや非効率を取り払うことでバブルが弾けた時のダメージを緩和し、その後はより拡大することができる」と指摘しています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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2 comments on “中国株バブルの行方は?!”
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中国政府はしっかりしてるから
クラッシュしたら全株を国が買って共産体制に戻ることも
株取引の10年間停止とかの荒業も可能ですから
ビッグバンだとしても外人が利益に参加するための
リスクは高すぎるのでほっときませんか
イギリスは金融国家になってから、メディアもかって
ほどの信頼感がなくなりましたが GDP比では大した
ことはないは良い情報でしたね
ありがとうございます
なんだ、中国株のインデックス組み込みの
前ブレを、ファイナンシャル・タイムズとも
あろうものがしたのかな?
”バブルに見えるけど、GDP比でいけば
まだまだ行ける”と。 6月9日に発表が
あったら、完全、怪しい(笑)