2015/05/27 05:55 | 昨日の出来事から | コメント(1)
好調な豪銀行の今後の行方は?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
豪の主要4大銀行とは、Commonwealth Bank, National Australia Bank(NAB)、 ANZ, Westpacであり、これらの銀行は、そもそもオーストラリア国内外の過当競争にさらされることなく比較的堅調に推移してきました。 2005年の株価を100とした場合、主要先進国の銀行株価指数が110ポイント台で推移しているのに対し、これら4大銀行の株価指数は300ポイント近辺まで上昇しています。
勿論、2008年の世界的な金融危機の際には70ポイント台まで下落しましたが(他の主要国の銀行株価指数は60ポイント台まで下落)、その後は、中国経済が好調なことと、世界的な鉱山資源市況が好調だったことから、いち早く上昇に転じ、2012年以降の豪住宅市場が活況な事を受けて住宅ローンが大幅に伸びて業績を大きく伸ばしています。
その結果、銀行のバランス シートに占める豪の住宅ローンの割合は1990年代前半には15~30%で推移していましたが、現在は40~60%まで上昇しています。 そこにニュージーランドでも貸し出ししている住宅ローンを加えると、その割合は更に5~10%増加します。
こうなってきますと、これまでは業績を支えてきた住宅ローン資産が、将来的に政策金利が上昇した際に不良債権化するリスクが大きくなり、昨年11月に豪金融監督庁が行った検査では、住宅ローン資産の内、80%が変動金利ローンであり、ちょっとした貸し出し金利の上昇でもローンが支払えなくなる可能性が高くなります。 金融庁は、ローン資産の分散化の必要性を指摘していますが、今、資金ニーズの非常に高いアジアのローン市場は競争が激しく、豪の銀行はうまく業容を拡大できないのが実情です。
更に問題なのは、これらの銀行の調達資金の多くは海外の銀行からの調達であり、将来金利が上昇した際(あるいは海外からの豪銀行に対する与信枠が削減された時)には、資金ショートする(運用に見合う資金が調達できない)リスクが高まっています。
とはいっても、豪金融庁は、豪の住宅ローンの不良債権化についてはそれほど懸念を持っていません。 といいますのも、オーストラリア人はローンの返済に対しては非常に規律正しく、サブプライム ローンの際のアメリカ人のように容易にデフォルトすることをしないからです(この点に関しては実直で真面目なオージー魂が健在なのです!)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “好調な豪銀行の今後の行方は?!”
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頭の良い白人が多いのに楽して儲ける仕事だけで
喰っているようで、どうしちゃったのですか?
銀行がおかしくなったら、完全に中国に首ねっこを
押さえられてしまいますよ。
中国はパンダがいるから、コアラはいらんと言うかも
しれない。 そしたら、売るものは、何?