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2015/05/13 05:35  | 昨日の出来事から |  コメント(2)

豪、3月の住宅ローン認可件数は前月比+1.3%


おはようございます。

昨日、ABS(オーストラリア統計局)が発表した3月の住宅ローン認可件数は、季節調整後で前月比1.3%増加して54,686件でした。 事前の市場関係者の予想は前月比+1%でしたので予想を上回った形になっています。 特に、投資用住宅ローンは前月比6.4%増加してAUD12.9bnでした(ちなみに2月は前月比-3.3%でした)。

3月の住宅ローンが増加した背景には、3月にRBAが政策金利を引き下げたことに加えて、引き続き豪の住宅市場が堅調に推移していることが挙げられます。

UBS エコノミスト Scott Haslem氏は「3月の住宅ローンは広範囲にわたって拡大している」とし、「今後は、5月にRBAが更に政策金利を引き下げたことに加えて、 RBAはこれを長く維持することが予想されるので、更に住宅ローン市場は堅調に推移するであろう」とコメントしています。

また、RBC Capital Marketsの fixed income and currency strategist Michael Turner氏は「住宅市場の投資家は、2015年初めの当局による住宅ローン貸し出し規制強化によって彼らの投資マインドが冷やされることはなかったようである」とし、「今後は更に投資用住宅ローンは拡大する」と豪語しています。

日本でも、1980年代後半には、大手証券会社の債券部が「10年国債の利回りが当時の日本の公定歩合2.5%を下回ってどこが悪い?!」と豪語し、同じ会社の株式部では「日経平均は10万円を目指す」とこれまた絶叫し、 日本の大手不動産会社がアメリカの象徴でありエンパイア ステートビルを購入した際には「その気になれば、日本の総土地時価でもってアメリカ全土を購入することができる」と言ってのけました。

今、オーストラリアの不動産バブルに酔いしれている人々から発する言葉の数々は、1980年代後半の日本でバブルに酔いしれていた人々が発していたあの無謀な言葉の数々と全くもって変わりません。

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2 comments on “豪、3月の住宅ローン認可件数は前月比+1.3%
  1. パードゥン より
    いずれ日本と同じく豪ドル高の来襲?

     日本と同じとすると、円高ならぬ豪ドル高が
    今後、20年続くという事ですか?

     いまだに、なぜ経済がだめになって
    失われた20年の日本で円高がおきた理由がわかりませんが、
    どのようなメカニズムだったのでしょうか?

     そして、それはオーストラリアにもあてはまりますか?

  2. パードゥン 様 より
    前橋

    いつもお世話になります。

    はい、その可能性があります。

    これは、一見、変な話のように思われるかもしれません。
    一般的には、「デフレ下では金融政策当局は金利を下げるのだから通貨としては売られる」と思われがちですが、その一方で、デフレとは「現金の価値」が上がることを意味します。 つまり、デフレ下では現金が足りなくなる(あるいは不足すること)も同時に意味します。

    その意味で、1990年以降のデフレ期に円高になったのは、日銀が政策金利を引き下げたり、量的緩和をしても、それ以上に円の現金としての価値が上がった為に円高になった(別の言い方をすれば現金保有嗜好が高まって円が不足し、円高になった)と考えられます。

    足元的には、現在の豪ドル高は、これまでは豪経済の失速を背景にRBAによる政策金利引き下げ期待が高まったために、豪ドル売りが入っていましたが、3月、5月とRBAが政策金利を下げたことで、当面は、更なる政策金利の引き下げ期待が後退した為に、豪ドルの買い戻しが入ったと考える方がわかりやすいと思います。

    ですが、中長期的には潜在的な豪ドルの現金価値が上がっているために、政策金利を2回も下げたにもかかわらず、豪ドルは対円で97円近辺まで豪ドル高円安となっています(その一方で、日銀は現金をばら撒いているために円安圧力がかかっています)。

    私としては、今の為替の現状をそのように捉えています。
    よろしくお願いします。

    前橋

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