2015/04/21 05:43 | 昨日の出来事から | コメント(0)
蜜月の終わり?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
ここでいう蜜月と言うのは、2012年11月以降の安倍首相と黒田日銀総裁の関係を指しています。
ご存知のように2012年秋に第2次安倍内閣が発足し、2013年早々には、アベノミクスの3本の矢の一本である日銀による異次元の金融緩和を実施してデフレからの脱却を目指すことを鮮明に打ち出しました(その後、2014年10月には黒田バズーガ2による更なる金融緩和を実施)。
しかし、ここにきてこの2人の関係に亀裂が入り始めているように見えると英誌エコノミストは指摘しています。
一つ目の亀裂は、財政政策を巡る亀裂です。 現在の日本の財政赤字(除く既発国債の利払い)はGDP対比で6.6%を占め、これに対し、黒田総裁は「安倍政権は財政赤字を減らそうとしている」とは思えないと懸念を表明しています。
2つ目の亀裂は、現在の金融緩和政策そのものに関するものです。 黒田総裁は、デフレを取り除くために(金融緩和政策によって)インフレ率を2%まで引き上げることを約束しましたが、現状は世界的な原油価格の下落の影響もあって、ほとんどゼロ%に近い水準で推移しています。 これに対し、安倍内閣は、これ以上の日銀による更なる国債買取りによる金融緩和は、むしろ弊害であるとのシグナルを出し始め、 黒田総裁のインフレ目標達成のための手段を弱めているように見えると英誌エコノミストは指摘しています。
というのも、これ以上の日銀による更なる国債買取りは、政治的にも色々と問題が出てくる可能性があるからです。 まず初めに、更なる金融緩和をして一層の円安が進めば、輸出企業は更に潤うかもしれないが、その一方で輸入価格が上昇して中小企業や家計に打撃を与える可能性が高い。 次に、ただでさえ日本国内の債券市場では日本銀行がほとんど買い上げているので、これ以上買い上げると債券市場が枯渇して流動性がほとんどなくなり、将来的に政府の円滑な国債発行に支障をきたす可能性が大きい。
その一方で、政府は今回の消費税引き上げと円安による企業収益の回復による税収増を見込んで財政改革には二の足を踏んでおり、これに対して黒田総裁は、こうした政府の対応に強い懸念を露わに表明している。 理由は、 もし、今後5年間にわたり、日本経済が3%で成長したとしても(極めて楽観的な予想であるが)、少子高齢化と社会保障費の増大によって、政府が目標とする2020年までにプライマリー バランスを達成するためには更に9兆円の予算が不足すると試算されているからである。
これに対し、安倍内閣は、今年の夏に2020年までのプライマリー バランスを達成させるための行動計画を策定することになっているが、その中身は高齢者の社会保障削減、高齢者入院介護等の削減、更には、現役世代の退職年齢の引き上げなどが打ち出される可能性が大きい。
最後に英誌エコノミストは「これらのこともさることながら、2人の関係が試される最も重要な出来事は、将来的に、 インフレが本格的に上昇した時に、日本銀行は政策金利を引き上げようとするであろう。 しかし、その時、安倍内閣は成長を維持させることを理由に金融政策の維持を主張するかもしれない。 その時、この2人がお粗末な仲違いをすれば、より一層の市場混乱を引き起こしかねない」と指摘しています。
(お二人が在任中に、そんなインフレが本当に起こるのだろうか、、、、起これば、それはそれで結構なことだと私は思うのですが、、、、)
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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