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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2015/04/09 05:17  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

改革の進まないギリシャの年金制度


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

今年1月にギリシャの総選挙で左翼政権発足し、4月1日に現ギリシャ政権がEU及びIMFに提出した財政再建案は実に馬鹿げたものである。 特に、財政改革の中心である年金制度に関しては、2012年時点で、ギリシャのGDPに占める年金支出の割合は実に17.5%と断トツに高く、ドイツですら12.3%しかない。 また、現在の支給体制を続けると20150年にはGDPに占める年金支出の比率は20%まで上昇することになる。  

左翼政権発足前の前政権時代の2013年に、ようやく年金支給開始年齢を65歳から67歳に引き上げられ、それまでのreplacement rate(退職前の収入に対する年金支給額の比率)が、年に2回のボーナス支給付きあった為に96%もあったが、改革後は54%まで引き下げられた(それでもEUの加盟国の中で2番目に高い水準)。

しかし、こうした贅沢な年金支出もさることながら、より問題なのは、55~65才代の人の働いている人の割合が36%しかないことである。 ちなみにスウェーデンでは75%、日本は65%、ドイツで63%、アメリカやオランダで60%のこの年代の人は働いている。 確かにラテン系の国々、フランスやイタリアは40%台と低いが、それにしてもギリシャの36%は低すぎる(要は、ロクに働きもしていないのに年金だけは他のEUの加盟国よりも高く、しかも北ヨーロッパの国々から30兆円を上回る支援を受け続けている)。

これでは、他のEU加盟国が支援の継続に納得すわけがありません。 そこへ、今週に入ってギリシャ政権はドイツに対して第2世界大戦時のドイツナチス占領に対する賠償金として36兆円を請求する暴挙に打って出ました(不思議なことにこの金額はギリシャがこれまでEUやIMFから受けた支援額に近い数字であり、どう見てもこの賠償金でこれまでの支援をチャラにしようと目論んでいることが明白です)。

さて、4月1日に現ギリシャ政権が提出した今回の財政再建計画を基に、今週に支援の期限がくるIMFは今後の支援について判断を下すことになります(こんな財政再建計画を受け入れるはずがありません)。 読者の皆様、市場はこれから気流の悪い処を通過しそうです。 御座席のシートベルをしっかりお締めください!  
Please Fasten Your Seat Belt!!

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