2015/03/27 05:34 | 昨日の出来事から | コメント(1)
米の利上げ後の金融市場動向は?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存知のように、先週のFOMCの中でイエレンFRB議長は、それまで使ってきた「(利上げに対して)Patient」の言葉を削除する一方で、今後の経済見通しを下方修正することによって、市場内にあった「早ければ6月にも利上げをする」といった期待感をうまく払拭しました。 それでも市場内には、年末までに政策金利が引き上げられるとみており、シカゴの短期金利先物市場では年末に0.5~0.75%まで政策金利が引き上げられることを織り込んだ水準で取引されています。
さて、「今後、アメリカの政策金利が引き上げられるとどうなるか?」が市場参加者の関心事ですが、それに対する考えのいくつかをご紹介します。
まず初めに、金利サイクルの観点から過去7回における最初の政策金利引き上げ時期のパターンを見てみますと、1回目の政策金利が引き上げられた後は株価が下落しますが、その6か月以内には、株価は反転して更に上昇しています。
ですが、今回については別の様々な見方があります。 ソシエテ ジェネラルのレポートによれば、1900年以降、6年間でこれほどアメリカ株が上昇したのは2回しかなく、1回目は1923~1929年の時であり、もう一つは1993年から1999年の時期でした。 1923~1929年の株価上昇の後はご存知のように世界恐慌がありましたし、1993年~1999年の時はいわゆるITバブルの時期であり、その後はバブルが弾けて株式市場は大きく下落しました。
また、ドイツ銀行によれば、現在のS&P500社の収益構造は、約40%が海外からの収益であり、その内、ドル以外の通貨による収益は1分の1しかなく、ドルが10%上昇すると、それだけで収益が2.5%押し下げてしまうとしています。 そこで、同銀行は、「もし政策金利が引き上げられてドルが上昇すれば、今後、アメリカ企業の多くは、これまでのような収益を確保することは困難になるであろう」として、将来のアメリカ株価に対して警戒的です。
一方で、債券市場はどうかと言うと、現在(3月18日時点)では、アメリカの10年国債の利回りは(将来的な金利上昇を織り込む形で)2.03%で取引されています。一方で、ヨーロッパの国債市場では、ECBによる国債買取りが行われているために、ドイツの10年国債は0.2%台で推移し、財政赤字で苦しんでいるイタリア国債ですら1.35%で取引されています。 このように考えてみますと、アメリカの10年国債は非常に魅力的に見え、今後、政策金利が引き上げられると、現在ヨーロッパの国債を保有している投資家は、これらを売却してアメリカ国債を買う動きに出る可能性あります(グリーンスパン議長が言った「金融の謎(conundrum: 短期金利が上昇しているにもかかわらず長期国債が買われて長期金利が低下する事)。
次に、視点を変えて、アメリカの住宅ローン保有者はどういった影響を受けるでしょうか。 アメリカの住宅ローン保有者は、2008年のリーマン ショックの引き金となったサブプライムローン問題に懲りて、デリバティブが組み込まれた見かけ上は金利がやすく見える住宅ローンは避けて固定金利で借りる人がほとんどであり、また、2008年当時の可処分所得に対いる住宅ローン返済比率は28%と非常に高い割合でしたが、現在は18%台と低い水準に留まっています。 また、モルガン スタンレーの試算によれば、政策金利が1~2%引き上げられても、彼らの可処分所得に対するローン返済の割合は、過去の平均的な返済割合を下回る水準に留まると試算しています。
以上のお話を受けて、読者の皆様は、将来、FRBが政策金利を引き上げた際には、金融市場がどのような動きを取るをお考えでしょうか。
英誌エコノミストは、この記事の最後に「(実際のところは)政策金利を引き上げられた時に、市場参加者や住宅購入者のアニマル スピリッツが市場に対してどう影響を及ぼすかは予測不可能である。 ただ、これまで9年間も続いてきたゼロ金利に対するいかなる変化(政策の変更)は、闇の中でジャンプするようなものである(どこにどう着地するかわからない)」と締めくくっています。
私たち投機家にとっては、「英誌エコノミストのいう闇の中でジャンプするというよりも、むしろ、否が応にも闇の中の放り込まれる」といった方が正しいのかもしれません。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “米の利上げ後の金融市場動向は?!”
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夜這い・・ではありませんか・・・?(笑