2014/11/18 14:57 | 昨日の出来事から | コメント(0)
英誌エコノミストがみた沖縄問題
今週号の英誌エコノミストに、掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。私たち日本人は、何もイギリス辺りから沖縄問題に言及されずとも、彼ら以上に知っている事ではありますが、海外からはどのようにこの問題をとらえられているかを知ってくことも必要と思い、ご紹介したいと思います。尚、この記事は11月16日の沖縄知事選挙の結果がでる前の記事であることを申し添えておきます。
英誌エコノミストは、今回の基地問題(特に、普天間基地を辺野古に移設する問題)も含めた現在の沖縄問題を先日に行われたイギリスのスコットランド州独立の是非を問う国民投票の話と交えながら、現在の沖縄では、独立を望む人の割合は県民全体の5%もおらず、基本的には、沖縄ではスコットランドのような独立を望む動きは「今のところはない」としています。
しかし、だからと言って沖縄の人々が現在の日本(もしくは日本政府)の対応に満足しているわけではなく、むしろ非常に不満を持っていることも事実です。歴史的には、沖縄は琉球王国として独立した国でしたが、19世紀に明治政府ができた時に、これに合わせる形で日本の領土として組み込まれました。その後、第2次世界大戦末期に展開されたアメリカとの沖縄戦の中で、日本兵からは自決を迫られ、アメリカ兵からは猛攻撃を受けて当時の沖縄の全住民の約4分の1に相当する24万人の住民が戦死しました。
その後は、1972年までアメリカの統治下におかれ、日本に返還された後も島全体の18%の土地をアメリカ軍に占有される状態が続き、敷地面積では日本にあるアメリカ基地の75%が沖縄に集中しています。 また、日本に滞在するアメリカ兵5.3万人の半分が沖縄に駐留し、このことが様々な問題(婦女暴行事件やヘリコプター墜落事故等)を繰り返し引き起こしています。
これに対し、日本政府は沖縄の負担軽減を打ち出し、地方への財源配分では他県よりも最も多くの財源を割り当て、昨年末の仲井間前知事の辺野古移設承認の際には今後10年間にわたり、3兆円以上もの資金を割り当てることを約束しました。 これによって普天間基地県外移設問題は県内の辺野古への移設で決着をみせたか見えましたが、沖縄県民の80%の人が反対している普天間基地の辺野古への移設問題は、今年初めの名護市市長選、そして今回の沖縄知事選では移設反対の候補者が勝利して、昨年末に成立した政府との合意に「NO」を突きつけた形になりました。
英誌エコノミストは、このコラムの最後に「沖縄県民は、日本人であることを改めて考え直すかもしれない。県民の多くは、(過去にもあったように)時の政府が彼らを崖から突き落とすかもしれないと感じている。 それは、取りも直さず『今は、国防の要として存在しているアメリカ基地が、今度は、いつか攻撃の対象となるかもしれない』と感じている」と記しています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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