2014/10/16 14:54 | 昨日の出来事から | コメント(0)
思っている以上に弱い世界経済?!
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
今、世界経済を見ると、アメリカ経済は好調で失業率は6%まで下落し、イギリスも3.2%の経済成長を達成して、これらの中央銀行では政策金利の引き上げのタイミングを見計らっており、世界経済は順調に拡大しているように見える。 しかし、実際はそうではない。
たとえば、ユーロ圏ではその経済の中心的存在であるドイツでは、ここにきて鉱工業生産と輸出が急落し、2四半期続けてマイナス成長となっている(一般的にはこれを景気後退と言う)。また、ユーロ圏第2の経済大国フランスは既に数か月にわたり景気が低迷しており、ユーロ圏第3の経済大国イタリアは2年続けてマイナス成長である。
その他の地域を見てみると、日本では4月の消費税引き上げの影響が予想以上に出て、これまでの景気拡大のモーメンタムは大きく低下している。 また、かつては持て囃されたロシアとブラジルは景気低迷期入っている。 そして、中国では表向きは7.5%の安定的な経済成長をしている事になっているが、不動産バブルの崩壊や、クレジット クランチが起きている中、この数字は疑わしい。
このように指摘すると「足元はそうかもしれないが、将来は大丈夫だろう」と楽観的に考える人もいる。 確かにIMFの予測によれば、2015年の世界経済は、アメリカの景気拡大に伴って3.8%まで回復するとなっている(しかし、これはいつものことで、将来は現在よりも良くなると期待するのが常なのである)。
我々は、次の2つの点から、現在の世界の景気は一般的に思われている以上に弱いと考えている。
その第1点目は、今日の景気の弱さ、特にユーロ圏の景気の弱さは、投資家が考えている以上に長く続く可能性があり、今のユーロは、かつて日本が長期間にわたって苦しんだデフレ スパイラルの崖っぷちに立っている。 第2点目は、アメリカだけに依存した経済成長では、今後の世界経済は不安定化し、特に、その期待が剥落した際には米ドルの急落を引き越す可能性がある。
では、「今後、世界経済が更に失速しないための処方箋は何か?」と尋ねられれば、その答えは極めて単純である。
まず、ドイツは、財政赤字を回避するような予算を組んでいる場合ではなく、もっと積極的に財政出動をすべきである。また、ドイツはフランスに財政赤字を削減するようなことを現時点で要求すべきではない。日本もしかりで、年末に予定されている2015年10月の消費税の再引き上げの判断は、景気が回復するまで先送りすべきである。 また、今、好調なアメリカやイギリスも政策金利を早々に引き上げるべきではない。
世界各国は、かつての世界的な景気後退(2008年)には戻りたくないと願いつつも、結局、先ほど述べたような過ちを起こして、世界的な景気後退に陥る可能性がかなり大きいのである。
(最近の世界の株価の急落は、こうした事を先取りした動きであり、逆に、市場がこうした動き(株価の急落)をとることで、世界各国の政治家や中央銀行が犯しそうな過ちを思いとどまらせているとも言えます)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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