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2014/08/15 15:55  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

今に始まった事ではないアルゼンチンのデフォルト!?


おはようございます。

先週号の英誌エコノミストに先月末にデフォルトを起こしたアルゼンチンに関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

先ず、今回のアルゼンチンのデフォルトは、(変な言い方ですが)それは珍しいことではなく、1820年代に第1回目のデフォルトを起こして以来、今回で8回目です。 これは、何もアルゼンチンだけに限らず、南アメリカ諸国ではザラに起こっており、1820年代以降の南アメリカのデフォルトの歴史を見て見ますと、エクアドルでは過去に10回、 ベネズエラも10回、コスタリカは9回も起こっていますし、南アメリカの大国ブラジルも9回デフォルトしています(平均的には20年に1回のペースでデフォルトが起きています)。

そして、今回のアルゼンチンのデフォルトは、全く新規にデフォルトを起こしたのではなく、前回の2000年に起こった時のデフォルトの際に債務のリストラクチャリング(債務の減免と支払金利の変更)を2005年と2010年に行った後の債務が再びデフォルトになったものです。 しかも、この際にこの時の債券を引き受けたのは、ハゲタカ ファンドのヘッジ ファンドNMI Capitalを中心とした、言葉は少し悪い表現ですが、所謂、ヤクザなプロの投資家集団であって、それまでのような一般的な投資家とは異質の投資家たちです。

彼らは、こうした債務不履行に関するプロのお抱え弁護士を有し、債務不履行が起こると裁判所に支払訴訟を起こし、判決の結果が彼らの事前に計算していた債務不履行条件よりもいい形で支払いを受ければそれで収益が上がるようなコストで、初めから債権を引き受けているのです。 

一方で、アルゼンチン側も、そんなヤクザな債権者の言い分の全てに耳を貸さず、リストラクチャリングの際に設定していた免責条項(再び債務不履行になった際には、新たにリストラクチャリングが出来る条項(RUFO: Rights Upon Future Offers)の行使に持ち込もうとしており、 ここにアルゼンチン政府とハゲタカ ファンドの間で泥仕合をしているのが現状です(ですが、そうした泥仕合になることは、前回の債券のリストラクチャリングをした時から、互いにある程度は織り込み済みの事なのです)。

そもそも、「南アメリカ諸国の国々がどうしてそこまで頻繁にデフォルトを起こすのか?」と言えば、それは歴史的な構造的問題であると言えます。 つまり、アメリカを中心に先進諸国から鉱山資源開発やインフラ整備といった形で、最初から返済能力を超えた過大な借り入れをする(もしくはさせられる)一方で、 政府(中央銀行)が自国通貨安政策による輸出拡大政策を取った結果インフレを引き起こし(裏を返せば、借金の返済や利払いの為の通貨である米ドル高を引き起こし)、 その結果として自らの支払い能力を越えた過大な債務に耐え切れずにデフォルトを起こしているのです。 しかも、こうした悪循環は南アメリカの国々の建国以来200年近くもずっと繰り返し行われてきたのです。

従って、私達、投資家(投機家)が、こうした国々の債券を購入する際には、その国の過去の経緯と構造的な問題を理解した上で、「今、自分は買おうとしている債券は、歴史的に平均すれば20年に1回はデフォルトする可能性のある債券である」という認識と覚悟を持つべきです(と言いますか、なまじ素人がこの類に手を出すべきではありません)。

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One comment on “今に始まった事ではないアルゼンチンのデフォルト!?
  1. ペルドン より
    覚悟

    >>なまじ素人がこの類に手を出すべきではありません・・

    ギャンブル狂・・ジェトコースター狂・・スリル狂・・等ナド・・
    脳細胞・・変化・・
    脳科学で・・指摘・・

    図星かどうか・・分からないが・・
    それなら・・止められないのでは・・・?(笑)

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