2013/10/31 14:51 | 昨日の出来事から | コメント(1)
カリブのギリシャ、プエルトリコ!?
今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
私自身、勉強不足で知らなかったのですが、読者の皆様はプエリトリコがアメリカの自治連邦国であることをご存じでしたでしょうか?(アメリカはご存じのように英語を母国語としますので、スペイン語を話す彼らがアメリカの連邦自治国とはちょっとピンときませんでした)。
このように私達日本人からは、とても遠い存在であるカリブの島プエルトリコですが、今、この自治連邦国が、南ヨーロッパのギリシャと同様の財政赤字に苦しんでいます。 このようにお話すると、読者の皆様は、「プエルトリコはアメリカの自治連邦国なのだから、アメリカがその債務の全てを保証しているから問題ないではないか?」とお考えになると思いますが、法律的には、アメリカ政府がその債務を保証するとはどこにも記載されていません。 これは日本の地方債とて同じです。
確かに、これまでは、アメリカの支援、例えばアメリカの中で唯一ユニバーサル住民健康保険制度と言って住民は全て無料で医療サービスを受けることが出来、また、所得の低い住民には国が住宅を手当てする等、アメリカ本土ではありえない程、社会福祉が充実しています。
一方で、主な仕事は、ギリシャと同様に、観光と政府関連の仕事が殆どで、効率が悪い上にアメリカ本土と同じ最低賃金制度が適用される為に、労働力の競争力がありません。 それでも、2006年までは、アメリカ政府が、様々な企業誘致を行って優遇し、プエルトリコ経済は順調に推移していたのですが、2006年にこうした様々な優遇措置が廃止された為、その後のプエルトルコの経済は一気に冷え込み、これまでの借金(自治連邦国債;地方債券)は70bn米ドル(日本円で約6.8兆円)と同国のGDPの70%まで膨れ上がり、その借金比率はアメリカのどの州のそれよりも高くなってしまいました。
更に、アメリカ政府からの借り入れも合わせると約4兆ドル(日本円で390兆円)に膨れ上がり、市場では、プエルトルコ債券の利回りが10%を越えるまで金利が上昇(価格が下落)してしまいました。
さて、このカリブのギリシャ、プエルトリコの財政危機を今回のヨーロッパのギリシャ財政危機の教訓に当てはめて考えてみますと、やるべきことは2つです。
まず一つ目は、ただ財政削減をするだけでは、益々、経済が縮小して財政がより悪化してしまうことをギリシャの財政削減で学びましたので、今回は財政削減と同時に、経済を成長させる政策を取る必要があります。その為に、同国を支配している独占や寡占を断ち切り、経済を成長させるための構造改革をする必要があります。
2つ目に、ギリシャでも行ったような債務のリストラクチャリング(債務の減額と、返済期間の延長、更には、支払金利の引き下げ)をどのようにするかです。 こうしたリストラクチャリングは、やるとすれば出来るだけ早くやるに越したことはない(ギリシャの場合はその時間が長くかかり過ぎた!)
その際、アメリカ政府は、債券保有者の肩代わりはしないであろう(アメリカという国は、ヨーロッパと違ってそういう国)。 代わりに債務のリストラクチャリング(金利の引き下げと返済期間の延長)をするであろうし、それを粛々とすべきである。 これをスムーズに行うために、アメリカ政府やIMFは一時的に資金を供給し、ギリシャで行ったボンド スワップ(Bond Swap)のような法的プロセスを取ることはその参考になるであろう。
と言いつつ、最後に英誌エコノミストは「プエルトリコの政治家は、財政赤字の対応にいつまでも女々しい(pussyfooting)態度を取り続けるであろう。 そして、アメリカ連邦政府は、最後まで見て見ぬふりをするであろう。 プエルトリコの財政危機が益々悪化することを期待せよ!」と(皮肉たっぷりに)締めくくっています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “カリブのギリシャ、プエルトリコ!?”
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第一次世界大戦後・・独逸賠償会議・・
英国の態度観れば・・今更何を・・白々しい・・
口元過ぎれば・・かな・・・(笑)