2013/08/23 14:57 | 昨日の出来事から | コメント(0)
結局、アメリカ頼みの世界経済?!
今週号の英誌エコノミストに、現在の世界経済の状況と、今後の見通しに関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
読者の皆様もご存じのように、2013年第2四半期の世界経済は、EUでは18カ月ぶりにプラスに転じてプラス1.1%でしたし、アメリカの成長率は当初、見込まれていたプラス1.7%から2.5%の上方修正されました。 また、日本は2013年第1四半期の3.8%には及びませんでしたが、それでもプラス2.6%でした。 更に景気の大幅な失速が心配されていた中国も、ここにきて緩やかに回復し、今年の世界経済は3.5%の経済成長が見込まれています。
しかし、2014年に向けてどうかと言えば、IMFは世界全体で約4%の成長を予想していますが、英誌エコノミストはこれに対して大きな疑問を投げかけています。
まず、EUでは、持続的な経済成長を可能にさせるための域内のより高いレベルの統合(特にヨーロッパの銀行の統合と財政の統合)、更には域内の労働市場を中心とした規制緩和の道筋が見えていません。 また、日本では、同じく持続的経済成長に欠かせない第3の矢、即ち、成長戦略(農業、医療、保健、雇用等の自由化、ブラック企業やゾンビ企業の整理、再編)が手付かずです。 更に、中国では、これまでのように政府による公共投資を中心とした経済成長から、内需拡大による経済成長への大転換がどうしても必要であるにも関わらずその道筋は全く見えていません(英誌エコノミストは、中国の経済構造の転換に対しては、共産党の一党独裁である限り、非常に悲観的な見方を示しています)。
結局の処、リーマンショックによる世界同時金融不況の後、不動産や様々な証券化商品の不良債権処理をいち早く済ませ、自動車産業を始めとする旧態然の経営にしがみついていた産業や企業を再生させたアメリカのみが、今後も持続的な経済成長が見込めそうです。
今後の世界経済は、結局の処、(過去にもそうした状況はあったが)アメリカ経済頼みとなっています。と同時に、そのことは、世界経済が一国の経済成長のみに頼るが故に、より脆弱で不安定な経済成長をせざるを得ないことを示しています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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