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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2013/02/22 06:51  | 昨日の出来事から |  コメント(1)

金融に関する知識の教育は、果たして意味があるか?


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

記事では、「まず、ここに100ドルを持っていたとし、これを年利2%で5年間複利運用した場合、5年後に受け取る金額は(1)102ドル、(2)102ドル以上、(3)102ドル以下のいずれか?との問いに対して、実にたった50%のアメリカ人しか正しく答えることが出来なかった」との調査結果をだして、人々の多くが如何に金融に関する知識が欠乏していかについて言及しています。

これは、なにもアメリカに限った事ではなくイギリスでも同様で、あまりにも金融に関する知識の欠落に危機感を抱いたイギリス政府は、義務教育のカリキュラムの中に金融に関する基礎知識を子供たちに教えること追加しました。 しかし、皮肉なことに「では、子供たちに金融に関する知識を教える学校の先生たちの知識は豊富か?」と言えば、甚だ心もとないと英紙エコノミストは指摘しています。

また、ある調査機関のサーベイによれば「残念ながら、たとえ金融に関する教育をしても、金融知識をより深く応用することが出来た、あるいは、より良い金融行動に結びついた」といった確証は得られなかったとしています。 と言いますのも、金融に関する知識を得たところで、それがより良い金融行動(Financial behavior)になる為には、金融を読み解く力(Financial Literacy)が必要であり、これは過去の経験則や個人的な資質によるところが大きく、必ずしも成果に結びつかないのです。

例えば、クレジット カードに関する知識を習得した人は、それを習得していない人に比べてクレジット カードのデフォルト(債務不履行)は低くなりますが、その一方で、「株式投資と債券投資を比べてどちらが有利か?」といった命題に対しては、知識だけでは応えきれないものがあるのです。 過去の経験則によれば(15年くらい前までは)、株に特化したファンドと債券に特化したファンドでは、殆どのケースにおいて株に特化したファンドの方が債券に特化したファンドよりいい成績を収めていました。 しかし現在では、債券に特化したファンドの方がいい成績を収めています。

このように、基礎的な金融知識を習得することは当然必要ですが、しかし、たとえそれを習得したとしても、そのことが「よりよい金融行動(Financial behavior)」に結び付くとは限らないのです。

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One comment on “金融に関する知識の教育は、果たして意味があるか?
  1. ペルドン より
    金融知識の欠如ではなく・・

    政府が・・
    力を入れるべきは・・
    算数・・数学・・
    教育の問題・?

    五十%は・・
    複利を・・通帳で確認する・・チャンスがない・・
    実務教育の場が無い・・
    とも・・
    解釈・・・?

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