2012/11/29 05:52 | 昨日の出来事から | コメント(0)
ヨーロッパ株は魅力的?!じゃあ日本株は??
今週号の英誌エコノミストに「暗い(利回りの低い)債券投資に比べればヨーロッパ株式投資はかなり魅力的」と題した記事がありましたのでご紹介したいと思います。
2010年初の対米国株とヨーロッパ株を100とし、その後、ヨーロッパ株は対米国株対比でアンダー パフォーム(underperform)をし続け、2012年7月のドラギECB総裁が「問題のある国の国債を無制限に買い支える用意がある」と発言するまで4割近くも値下がりしました。 しかし、それ以降は10%程度回復し、特に、それまで大幅に売られていたギリシャ株は40%、スペイン株が30%も上昇しています。 こうした動きを見て、株式アナリストは「もうヨーロッパ株は底打ったから買いだ!」と、まるで新興国の株式投資のように騒いでいます。
その一方で、機関投資家は、最近になって株式投資からMMFなどのより安全資産に資金をシフトし、9月単月だけで薬29bnユーロ(日本円で約3兆円)もの資金が移動しました。 と言いますのも、最近になって2013年以降のヨーロッパの経済成長率が大幅に下方修正され、これに対して機関投資家が将来的には企業の業績も悪化し、株価は下落すると考えたことが背景にあります。 これをみた株式アナリストたちは慌てて「今後のヨーロッパ景気の悪化を背景に、もはや株式投資は出来ない」と踵(きびす)を返す有様で、まるで「キャピタルゲインの期待できない株式投資はやめるべきだ」と言わんばかりです。
英誌エコノミストは、こうした右往左往ばかりしている株式アナリストたちの話に耳を傾ける前に、「そもそも論として、ヨーロッパ株に投資することの意味を考えるべきだ」と指摘しています。
英誌エコノミストに言わせれば、「ヨーロッパの株式市場は、新興国のように将来的にヨーロッパ経済が大きく成長するわけでもないので、株価がどんどん上がってくものではない(ましてや、ヨーロッパ信用危機に直面している現在は大きなデフレ圧力がかかっており猶更のこと)。 また、目先的に景気が悪化するからといって(キャピタルゲインが狙えないからといって)株式投資を止めるべきものでもない。 ヨーロッパの株価投資は、本質的には企業の業績からくる配当に投資すべきものである。」としています。
この観点から見ると、オーストリア、オランダ、スエーデン、スイス株に投資をしている投資家たちは、彼らの国の10年国債の利回りより2倍以上の配当を得ており、 フランスやドイツに至っては、その国の30年国債の利回りより高い配当を得ているのである。
更には、「今後、ECBがヨーロッパ信用不安解消に向けて気の遠くなるほど長期間に亘り、政策金利をほぼゼロに据え置かざるを得ないことからしても、配当の高い企業の株式投資はかなり魅力的であることが分かる」としています。
さて、振り返って、私達の日本株式投資はどうでしょうか。 今回の英誌エコノミストは、私たちにも有益なインプリケーション(含蓄:implication)を提供してくれています。
今後の日本はヨーロッパ以上に少子高齢化が進行し、更には財政が益々悪化していく中、日本経済は非常に低い成長率がこれまた気の遠くなるほど長期間に亘り続くことが予想されます。 その中にあって、私たちがとるべき投資行動は「日本の10年国債や20年国債の利回りよりも高い配当を出す企業を探し出し、その企業に“長期間”投資すること」です。これに関連して“長期間”保有することの優位性(エッジ)については、今年の9月の第1回グッチー ポスト公開セミナーの「前座」でもお話した通りです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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