2012/10/30 06:02 | 昨日の出来事から | コメント(1)
今後の財政削減危機はイギリスとアメリカに?!
先日もこのコーナーで「ヨーロッパの財政緊縮政策、特に、ヨーロッパ周辺国と言われているギリシャ、ポルトガル、スペインに対する極端な財政緊縮政策は、現在の世界的な低経済成長下にあっては、事前に想定された以上に実体経済へのダメージが大きい」との検証結果がIMFの調査で報告された事をご紹介しました。
これを受けて、最近まではドイツのWolfgang Schauble 財務大臣を中心に「財政危機国の財政再建には何が何でも財政緊縮すべきである!」とある種の宗教めいた要求をしてきた人たちの姿勢もやや弱まってきています。 最近に発表されたこれらの国々の今後の財政削減の計画もGDP対比1%程度までスロー ダウンしてきています。
そもそも財政緊縮と成長の関係に関しては、英誌エコノミスト誌によれば、2年前までは財政削減は景気をプラスに刺激すると言われてきました。 しかし、この考えは、現在のような世界的な低経済成長下にあっては、ギリシャやポルトガルの惨状を目の当たりにして、もはや信用されなくなってしまっています。 本愛、財政削減は、それによって市中金利を急低下させることが出来る状況においては有効であるが、現在のように既に目異国金利がゼロになってしまっている状況下ではその効果はなく、逆に景気を押し下げる負の効果の方が大きいのです。
にもかかわらず、最近になって、今度はイギリスとアメリカの政治家の間で、自国の財政削減を強力に推し進めようする動きが顕在化しています。 例えば、イギリスにおいて、オズボンド財務大臣は、「2015年までにイギリスの財政赤字比率を低下させるべきである」との考えに固執して、財政削減幅を倍増しようとしていますし、アメリカでも「Fiscal Cliff」と言われる厳しい増税と財政削減を主張する動きが議会の中で俄かに勢いを増しており、もし、このようなことが現実になれば、イギリスやアメリカのリセッション入りは避けられないと英誌エコノミストは指摘し、「こうしたリスクを避けるためには、(何が何でも財政削減をすることはいい事であるといった訳のわからない信念を捨てて、もっと理性的に議論すべきである」と述べています。
でも、これを読んだ私は、思わず笑ってしました。 というにも、2年前、ギリシャ、アイルランド、更にはやポルトガルの財政危機から脱出するためには、「兎にも角にも財政緊縮を、まず、するべきである」といったのは、当の英誌エコノミスト誌だった事を思い出したからです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “今後の財政削減危機はイギリスとアメリカに?!”
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