2012/08/14 06:24 | 昨日の出来事から | コメント(1)
ギリシャの現状とその惨状
先週号の英誌エコノミストにギリシャの現状とその惨状に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。 既にギリシャ国債やギリシャのCDS(クレジット デフォルト スワップ)などの市場取引の保有者とその損失は殆ど確定し、新たな損失は出ない状況となっています(新たな国債や新規発行の取引は市実質的にストップしているため).
その一方で、ギリシャは市場からの調達手段を絶たれた為に、財源不足は益々深刻化し、トロイカ体制(EUとIMFとECB)がギリシャに対して資金支援をし続けていますが、その見返りとなる財政削減は遅々として進まず、「このままでは、9月にギリシャは無秩序的なEUからの離脱をする(実質的にはEUから放り出される)可能性が出てきた」とギリシャの財務大臣 Yannis Stounaras氏は警告しています。
英誌エコノミストによるとギリシャの現状と惨状は以下の通りです。
(1)2010年のギリシャ支援の際に、ギリシャが約束した財政削減計画は、2013~2014年までに11.6bnユーロ(日本円で約11兆円)の財政削減と、50bnユーロの民政化計画(2015年までに19bnユーロ、その後10年後までに残りの31bnユーロ)に対し、今年度の目標とした3bnユーロの民営化に対して実施できたのは僅か300mnユーロ(目標の10分の1)に過ぎず、「これまで非常に多くの作業をしてきたが、とても満足のいくものではない」とギリシャ政府の関係者も認めています。
(2)2010年の財政削減計画の中には、2012年6月までに国家公務員の削減計画があり、その中には200の税務署の整理統合が含まれており、この無謀な削減計画によって税務署員の士気の低下し、署員の腐敗と汚職が益々はびこっています。おかげでこれまでの40bnユーロの税収は僅かに10bnユーロにまで低下し、これに対してこれまで数百名の脱税と横領を摘発しておきながら、財源不足で投獄もその裁判も出来ないほど国家機能が麻痺してしまっています(法治国家としての治安維持が出来なくなりつつあります)。
(3)そして現在のギリシャの経済状況は、過去3年間にGDPは-13%となる一方で、物価上昇は3%もありました(尚、6月物価の上昇は1%にまで低下)。そして労働市場の現状は10人解雇して一人を雇う惨憺たる状況で失業率は22.8%まで上昇しています。
(4)また、ギリシャに対する投資環境は、(あ)腐敗(詐欺、横領、賄賂)が多くてとても出来ない、(い)法律があまりにも守られていない為にとても投資できる状況にはない。
と指摘しています。
英紙エコノミストは、今回のロンドン オリンピックになぞらえて「マラソン発祥の地であるギリシャに必要なのは、(財政削減に向けて長い距離を走る)マラソンではなく、(改革を一刻も早く実行する)短距離走である」と指摘しています。
ロンドン オリンピックも終わったことですし(失礼しました!まだ パラ オリンピックがありますが)、ギリシャがEUから(何の道筋もなく)無秩序的に脱退する日(もしくは実質的にEUから放り出される日)が、早晩、来そうです。 その時、通貨としてのユーロはこれを歓迎して買われるか、それとも第2、第3のギリシャを想定して売られるか、ここのところが実に悩ましいところです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “ギリシャの現状とその惨状”
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財務大臣ヤニス・ストゥルナラス・・
ユーロ導入責任者・・
直近の経済状態発表も・・加入と同様・・虚偽疑い・?
専門家・・市場・・疑惑の眼差し・・
ユーロ圏から・・蹴り出されるにしても・・
自ら・・金輪際・・出て行かない・・
>>税務署員の士気の低下し、署員の腐敗と汚職が益々はびこっています。おかげでこれまでの40bnユーロの税収は僅かに10bnユーロにまで低下・・
税務署員の腐敗・汚職だけではなく・・
選挙の年・・税務署は動かない・・指摘される希臘風土病では・?
トロイカ
九月台本・・先月台本・・表紙を張り替え換え・・済ますか・?
トロイカ・・メルケルを窺い・・
メルケル・・独逸有権者を窺い・・独逸憲法裁判所を窺う・・
英国・・希臘を窺い・・スペイン・イタリアを窺い・・すかさず・・ユーロを蹴っ飛ばす・・
ユーロ崩壊・・ノルマンと化し・・ドーバー敵前上陸渡り・・
今度は・・ブリテンの戦いになる・・
独逸・・日本国際購入・・いよいよ日独同盟再現か・・・??