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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2012/08/07 06:05  | 昨日の出来事から |  コメント(2)

フリードマン、あなたなら何をする?!


おはようございます。

先週号の英誌エコノミストに「今、フリードマンなら何をする?」と題した記事がありましたのでご紹介したいと思います。

今年は、シカゴ学派の重鎮である経済学者ミルトン フリードマンの生誕100年にあたりますが、彼が2006年に没して以降も彼の影響力は計り知れないものがあります。 彼は、それまでの需要サイドを重視するケインジアンとは全く反対の立場の供給サイド重視の経済政策を提唱し、景気の低迷を回復させる中心的役割は政府の財政出動ではなく中央銀行のマネー サプライの調節(金融緩和)であるとしています。

これまで、世界経済は景気が失速する度に財政出動をし、その都度、赤字国債を発行し続けてきましたが、2008年のリーマンショック以降の世界同時不の際、各国は巨額の財政出動によって目先の危機を何とか切り抜けました。 しかし、その後の財政再建は野放図となり、各国の財政赤字の残高は、南ヨーロッパの国々を中心に国家財政持続維持可能な水準を越えてしまい、それがヨーロッパ信用不安となって、今、世界経済の足を引っ張っているのは読者の皆様もご存じの通りです。

それでは、「こうした景気の低迷を、これ以上の財政支出をせずに打開するにはどうすべきか?」という処方箋について言えば、第1には、世界経済は規制緩和を押し進めることが挙げられます(これまでの既存の規制下では、これ以上、景気の拡大が出来ないからこそ現在の不況がある)。 したがって、規制緩和によって新たなビジネスや新たな企業家を育成する必要があるのですが、同時に、それは更なる競争を激しくさせ、貧富の差を拡大させるバイアスがかかってしまいます。

そして第2には、政策面としては中央銀行が積極的に金融緩和を推進する必要があります。1930年台の世界恐慌の際には、各国は金融政策(金融緩和)に失敗し、最終的には政府の財政出動によって(ニュー ディール政策)によってようやく世界恐慌を何とか克服したのですが、その為に約20年の歳月と、第2次世界大戦という甚大なコストをかけなければなりませんでした。  

さて、振り返って現状はと言えば、もうこれ以上の財政出動をすることが出来なくなってしまっている今、出来る選択肢は、更なる金融緩和(量的緩和)しかありません(日本では、まだ財政出動できる余地はあるという人が一部にはいますが、、、)。

そして、現在のアメリカ経済について言えば、アメリカ経済は1903年台の大不況以来、最も低い経済成長に陥ってしまっています この経済成長が潜在的な経済成長のトレンドを下回っている現象に対し、フリードマン的に言えば、低い期待インフレ率は、需要とマネー サプライに間に大きなギャップがあることを意味し、そのギャップを埋める為のマネー サプライが必要であるのです。 英誌エコノミストは(議論は色々あるのは承知の上で)更なるマネー サプライ(量的金融緩和)の必要性とその正当性を訴えています

今後の世界経済の牽引役を考えた時、今、メルトダウンを起こしているヨーロッパに世界の景気の牽引役など到底なれず、一方で、これまでの牽引役であった中国、インドやブラジルもここにいてその役割を一旦は終えつつあります。 そうなれば、次の牽引役は、今、一番、経済成長の潜在力のあるアメリカがしかなく、 アメリカ経済の行方こそが今後の世界経済回復のカギを握っていそうです。

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2 comments on “フリードマン、あなたなら何をする?!
  1. ペルドン より
    何をする?!

    だとしても・・
    民主党と共和党の諍い・・
    議会のネジレ・・
    これが・・収まらないと・・・

  2. ミスター より
    ローン経済に・・・

    支えられていたアメリカ経済をまた同じ軌道に乗せることはできないですが・・・。
    どうしましょう。だれか発明できたらノーベル賞でしょう。

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