2012/05/02 05:47 | 昨日の出来事から | コメント(10)
日本は、東アジア主要国の中で一番貧しい国!!
今日の本題に行く前に、RBA(オーストラリア準備銀行)は、昨日、大方の市場の予想に反して政策金利を0.5%引き下げて3.75%とすることを決定しました。 理事会後のGlenn Stevens総裁は、声明の中で「鉱山部門以外の豪経済の失速を食い止めて活力を入れる為に政策金利を0.5%引き下げた」と引き下げ幅を大きくした理由を説明し、今後、豪経済が上向く事に強い期待を表明しました。為替市場、債券市場では、予想以上の政策金利の引き下げに豪ドルは他通貨対比売られ、債券市場も全セクターに亘って15bp近くも買われています(価格は上昇し、利回りは低下)。
さて、日本は、今、ゴールデン ウィークの谷間で、また、明日からゴールデン ウィーク後半に入ります。 今週の英誌エコノミストにIMFが行った購買力平価でみた日本人の一人あたりのGDP所得は、「2017年には東アジア主要国の中でビリ!」になるとの記事がありましたのでご紹介したいと思います。
1980年代は、読者の皆様もご存じのように、日本、シンガポール、香港、台湾、韓国の順位で一人あたりのGDP所得は高かったのですが、1993年にはシンガポールに抜かれ、1997年には香港に抜かれ、そして2010年には台湾にまで抜かれてしまいました。 そしてIMFの予測では2017年までには、韓国にまで抜かれてしまうとの見通しをしています。
ちなみに2010年時点での日本人一人あたりのGDP所得は、38,0000ドルで、シンガポールは70,000ドルもあり、香港は60,000ドル、台湾は50,000ドルと大きく水をあけられ、韓国は36,000ドルと日本に肉薄しています。
確かに、名目為替を使った比較では、日本は円高のお陰で高い水準を維持していますが、経済学で各国の生活水準を比較する際には、それぞれの国の物価水準を考慮した購買力平価(Purchasing-Power Parity)で比較する事が一般的です。
読者の皆様は、「日本は、別にこれまで1番になろうとして頑張ってきたわけでもなく、結果として1980年代に偶々1番になっただけで、それが今度は逆に東アジア主要国でビリになるに過ぎないのであって、それはそれで構わないじゃあないか?」とおっしゃるかも知れません。
確かに、私達ひとり一人は誰も日本の国のGDPがどうのこうので生活しているわけではありませんが、その一方で、私達の心のどこかには「日本は、アジアで1番豊かな国だ!」との優越感や間違った幻想に囚われていないでしょうか? それが証拠に、本来は、自分や我が子に“投資すべき大切なお金”を、手元の名目為替の高さ(円高)にほだされて、韓国や、香港、台湾に出かけてはブランドのバッグや高級品を買っては“散財”していませんか?
また、政府は政府でいまだにアジアの大国を装って、やれ、通貨危機の際には韓国に資金援助するだの、IMFに5兆円もの巨額資金を拠出するだの大判振る舞いをやっていますが、それらは既に自分の身の丈に合った事ではなくなってきています。
寧ろ、これらの国に旅行して散財するのではなく、かの地からお金を分捕ってくる、あるいは、これらの国の人々に日本で散財させて私達の所得を増やす必要があるのです!
このゴールデン ウィーク後半に海外に出かける読者の皆様、どうか、この事を踏まえて行く先々で語学なり、将来、自分の役に立つ知識の習得にお金を使ってください。 もし、そんな事が面倒であれば、仕方ありません、手っ取り早くカジノにでも出かけて、旅費と滞在費を取り返して来てください! 何故ならば、私達日本人は、もはや東アジアの主要国の中で一番貧しい国民なのですから!!
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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10 comments on “日本は、東アジア主要国の中で一番貧しい国!!”
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そんな先の話・・
ぐっの競馬予想並・・では・・?
2017年までに・・
英エコノミスト・・潰れているかも知れない・・企業買収されているかも・・
来年の事を言うと鬼が笑う・・
いい日本の格言では・・・?
先週老人クラブの旅行に行って来たのですが、ホテルで中国人観光客と同宿しました、服装なんか我々よりずっとセンス良く堂々として自信が身振りに表れていました、これからは時代が変わったんだと認識してかからないと可笑しな事になると思いましたね。
一人当たりのGDPが台湾に抜かれているとのことですが、所得の再分配機能が関係してくるのでしょうが、台湾の一人当たりのGDPが日本のそれよりも多いということは、台湾の人達の所得が日本人よりも高いことを意味すると思います。しかし、実際には生鮮食料品など物価水準は台湾の方がずっと低いですから、体感的には一人当たりのGDPが台湾に抜かれているとは実感しがたいのですが、これをどう理解すればいいでしょうか?
いつもお世話になります。
ご指摘のように、台湾のほうが生鮮食料品は安いです。しかし、”購買力平価で調整した”所得で比べたときには、台湾の方が所得が高くなってしまうのです。
と言いますのは、例えば、サンマ一匹を日本では200円を支払わないと買えないとします。 一方で、台湾ではサンマ一匹を50円で買えるとします。
そして、日本人の一人当たりの額面所得は20万円とします。 すると、20万円の所得の人が一匹200円のサンマを買う購買力は20万円分の200円=0.001です。
一方で、もし台湾人の一人当たりの額面所得が、5万円であれば、日本人のそれと同様に5万円分の50円=0.001となります。
しかし、もし台湾人一人当たりの額面所得が10万円であれば、サンマ一匹にかかる金額は、10万円分の50円=0.0005となります。
即ち、台湾人一人当たりの額面所得が10万円であれば、額面所得の0.001をサンマの購入に充当するとすると、2匹のサンマを買うことができるのです。
いいかえると、同じ効用のサービスや物を購入する力(購買力)は、この場合の台湾人の方は、日本人のそれよりも2倍あることになります。
このように現在の台湾人は、物価が安い割には、日本人ほど額面所得は高くなくても、その購買力(購買力平価による所得)は、日本人よりも高い所得を得ていることを示しています。
よろしくお願いします。
前橋様
丁寧な御説明を頂き、ありがとうございます。
ただ、解せないのは一人当たりの国民所得が高いということは、所得の額面も日本人よりも高いと思うのです。御説明ですと、掲載されたGDPは何かしら調整された後の実質ということであり、そのままの数字を把握できる”名目”で測定されたものではないと考えてよろしいでしょうか?データの正確さを担保するうえで、名目の方が信頼性が高いと思われます。そうすると台湾の方の名目所得と日本人の名目所得(日本人の方が一人当たりのGDPが低いのに名目所得が高い現実)の相違の説明が出来なくなってしまいます。
お手数ですが、御説明頂ければ幸いです。
いつもお世話になります。
名目所得と実質所得(購買力平価による所得)の関係は、名目インフレ率と実質インフレ率の関係と同じように、名目上の数字は、その実態を必ずしも反映できていません。
よろしくお願いします。
前橋
はじめの文中にも、購買力平価による国民所得の文言がありました。
なるほど、名目所得では台湾に勝っても、物価などを考慮した購買力平価(実質所得)で見た場合、台湾の方が豊かなのですね。
詳細な御説明、まことにありがとうございました。
前橋様が指摘されたのと同じ内容の記事がありました。
http://www.economist.com/blogs/graphicdetail/2012/04/daily-chart-16
内容を理解しがてら英語の勉強をしてみます。
何で日本より人口がはるかに少ない国とだけ比べてるの?あと台湾は現在も一人当たりのGDPは日本より低いよ。
グローバル経済下においてPPPベースのGDPなんて全くあてにならない。例えばiPhoneのような先端技術機器はどこの国でもほぼ同じ値段で売られているが、ドルベースの平均所得が高い日本人の方が台湾人や韓国人よりも多くiPhoneを買うことができる(更新の回数を増やせる)。
PPPGDPで他国にまさったとしても相対的な資産価値が下なのであれば、グローバル社会においては「負け」を意味する。企業であれば買収されるし、モノであれば爆買いされてしまう。
鎖国している時代なら筆者の仰る通りだが、他国と密接に繋がる現代においてはドルベースの名目GDP(1人あたり)でまさっている国の方が上だ。