今、豪のジュリア　ギラード政権が、トニー　アボット率いる野党と泥仕合を演じています。
８月上旬までは、二酸化炭素税導入を巡って国民からの反発を買ってジュリア　ギラード与党政権は人気を落とし、かつて寝首を掻いた筈のケビン　ラッド前首相に返り討ちに遭いそうになって首相の座が危うくなりましたが、これを何とかしのいで法案成立に目途をつけて夏休み入りをしたのでした（身内との泥仕合）。

そして、先週から夏休みが明けて、具体的な二酸化炭素税（豪ではCarbon taxと言われている）法案作りに取り掛かろうとした矢先に、今度は、自陣営のＮＳＷ（シドニーのある州）出身のThomson与党国会議員が、国会議員になる前の時期に、３週間に亘ってＮＹ、ロンドン、パリに出張した際に、彼の支持母体である健康保険組合のクレジットカードを使って、１０万ドル以上の公金を私的に流用し、その中には、売春（prostitution）エスコートクラブの領収書まで出てきて国会は大騒ぎ。

本来であれば、公金流用容疑が発覚した時点で、ジュリア　ギラード与党政権はThomson議員に辞任勧告をして辞任させれば事は簡単に片付いた筈なのですが、思い出していただきたいのですが、前回の総選挙で、無所属議員をかき集めて２票差で辛うじて政権を守り、その後、１名の無所属議員が与党離脱した為、これ以上議員を減らすと野党と同数となり、過半数を維持できなくなってしまう苦しい台所事情があり、防戦一方を強いられたのでした。

そこへ、ここからが政治の世界の摩訶不思議たるゆえんなのですが、今度は、トニー　アボット野党陣営の国会議員が、ＮＳＷ州の首相（日本でいえば県知事）とＮＳＷの警察大臣（日本でいえば県警本部長）に電話をかけて、Thomson与党国会議員の疑惑に介入するように依頼したというのです。

私は、どうして野党陣営の国会議員が与党陣営の国会議員の公金流用事件の捜査に介入するように働きかける必要があったのか全く理解できず、その事を現地の友人（オーストラリア人）に伺ったところ、彼は、「だって、公金流用なんて、ジュリア　ギラード政権の国会議員では珍しいことで、今回、問題になっているけれど、かつては（トニー　アボット率いる自由党が長期間政権を握っていた頃は）、　殆どの国会議員が日常茶飯事にやっていたことなので、それが、今になって蒸し返されることを避ける為に、捜査介入を働きかけたのさ」と教えてくれて納得したのでした（与野党の泥仕合）。　

そういえば、東方の日出国でも、原発推進を巡って、県知事が賛成を働きかける電話をしたとかしないとか、収支報告書を巡って虚偽の報告をしたとかしないとか、はたまた外国人から献金を貰った、貰わないとか、金にまつわる話は、古今東西、地球の上下関係なく、尽きることがありません。

とりわけ、身内、与野党構わず、見境なく入り乱れて泥仕合をしたるは、いと、あさまし。