2010/08/17 05:27 | 昨日の出来事から | コメント(0)
主要国の脱税率の比較
今週の英経済雑誌エコノミストに主要国の脱税率を比較した記事かありましたのでご紹介したいと思います。オーストリアのShneideer 氏( the University of Linz) が行った調査によれば、南ヨーロッパの国々の脱税率が断トツの高さを示しています。
例えば、今回、財政破綻懸念で問題になったギリシャは、本来あるべき税収の25%が脱税され、イタリアも22%、スペインは20%、ポストがルも同様に20%となっており、何のことはない、これらの国々はPIGSと言われた国々です。一方で、北ヨーロッパではドイツが15%、フランスが12%、そしてイギリスが11%と相対的に低くなっています。
さて、私達日本は、その調査によれば本来のあるべき税収の約10%が脱税されていると考えられ、日本より脱税率の低い国はスイスで8%、アメリカは7.5%となっています。
このように見てみますと、ヨーロッパの財政危機問題は「なんだ、この脱税さえなくせば解決できる!」と考えられがちですが、実際は、なかなかそうはいきません。 まず南ヨーロッパの国々では「自分たちの払った税金に対して、それに見合ったサービスを国から受けていない」と考える国民が多く、こうした脱税は国民に広く行き渡っており(性癖:propensityになっており)、これを短期間で改めさせるのは容易ではないとエコノミスト誌は指摘しています。 また、取り締まりを厳しくするとコストが膨大にかかってしまいます。
更に、2002年にIMFが行った調査によれば、脱税したお金の大半は国内で使われており、その意味ではGDPに十分(?!)貢献しており、 たとえ費用をかけて税収を増やしたところで、その国のGDPを改善させる事にはあまりつながらない事も指摘しています。
最後に、Shneider氏は、「少なくとも、ギリシャのように(脱税率の高い国は)、取り締まりを厳しくすることで国家収入を増やす事が出来る」と指摘する一方で、皮肉好きな雑誌エコノミストは「税金を支払わない人が存在することは、不公平である事には間違いないが、脱税を減らすもっと有効な方法は、税金を支払っている人に更に税金を支払うよう説得することである(そうすれば税収は増えるし、同時に脱税をしている人に対する怨嗟の念は更に高くなり、彼らを震え上がらせる事が出来る)」と書いてあります。
でも そうかなあ〜、増税をすれば、脱税が減るって!? これじゃあ、財務省、国税が大喜びですよね。 逆の様な気がしますが、、、、(そこがエコノミストの皮肉たる所以かもしれません)。
ところで、読者の皆様は「日本の脱税率10%」をどうお考えになりますか?
多いですか?少ないですか? ・・・・・ ですか?!
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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