先週号の英経済雑誌エコノミストに日本の負債、それに続いてアメリカとイギリスの債務問題について特集していました。　読者の皆さんは、この期に及んで日本の債務について改めて言われるまでもなくよくご存じだと思いますが、ざっと要約をご紹介します。

（１）来年の予算については、御存じのように９０兆円の予算に対して税収が４０兆円、国の借金５０兆円という異常な予算になります。　更に、国の借金の残高は８００兆円と日本のＧＤＰの約２倍になります。

（２）ＪＰＭｏｒｇａｎの試算によれば、現在の長期国債の金利水準で、現在の財政赤字がこのまま続けば、２０１４年には、ＧＤＰの３倍（１２００兆円）にまで膨れ上がります。　このころには、人口の減少や高齢化に伴い家計部門がこれまでの黒字から赤字に転落してきます。

（３）しかし、これだけ悪材料があっても、日本は、まだ借金貧乏の運命にありません。　というのも、一つには国民の金融資産１４００兆円と企業の手元資金のおかげで現在の日本の国の借金の内９３％は国内調達されているため、外国市場に依存しなくてもいい状態になっているからです（アメリカやイギリスと決定的に違う点はここです）。　更には、日本は引き続き世界最大の債権国であり、米国債を中心に売却可能な国債（債権）を保有しています（実際は売らせてもらえませんが、理屈上は売却可能）。

（４）ドイツ　バンクのエコノミストは、日本の現状は「鉄のヘキサゴン（６角形）：財政赤字、滞留した当座預金、円高、物価下落、低い名目金利、経済停滞」の中にあり、今後、日本で起こりうる事は、クラッシュのような危機ではなく、”持続する衰退もしくは冬眠”と表現しています。

（５）その日本の現在のＧＤＰですが、１９９１年の水準に比べて僅かに０．１％しか増えておらず、この言葉を借りれば既に１８年もの間、日本は冬眠していることになります。

（これって、冬眠の域を出ていませんか？！　あ、そう言えば、１７年セミとか１９年セミとか素数の周期で大量に発生するセミがいることにはいますが、、、）