2011/12/16 06:24 | 昨日の出来事から | コメント(0)
RBAによる為替介入に関するレポート
昨日、RBAは、「為替介入に関する効果と限界に関するレポート」を発表しましたので、その主な内容をご紹介したいと思います。 これは1983年に豪が変動相場制を導入して以来、各期の為替の水準と為替介入を行った際の効果について調査したもので、政治家にもその理解を喚起しています。
(1) 為替介入に関しては、市場が非常に深化して効率化され、なおかつ資本市場取引が自由化されている状態では、 為替介入の効果は短期間しか効かない。
(2) 更に、為替市場が通常の状態においては、政治家が為替水準を「適正な水準(政治家にとって都合のいい水準)」に為替を誘導することは非常に困難である。 ましてや、リアル タイムで(為替介入などの方法で)強引に(彼らの意図する適正な水準に)誘導することは殆ど不可能である。
(3) 為替介入が、唯一、有効なのは、為替市場が機能不全に陥って為替が激変している時に、これを安定化させることを目的する場合のみである(RBAは2008年のリーマンショックの時に、豪ドルが暴落した際、豪ドル買いの為替介入を行ったが、その介入した資金は、市場全体の0.47%であった)。
内容的には、極めて当たり前の事なのですが、振り返って、我が日出る国ジパングの為替介の大半は、政治家による「(自分たちにとって都合のいい)適正な為替水準」に誘導しようとしたものであり、その結果は、ご存じ通り、全く彼らの意図する水準まで円安になっていません(本当は、政治家自身も為替介入の有効性など無いことが分かっていても、国民や財界(特に輸出産業)の手前、そうせざるを得ないのかもしれんが、それにしては無駄遣いの度が過ぎます(野田財務大臣の時には約2.5兆円、そして安住財務大臣に至っては、何と9.1兆円(2011年10月28日〜2011年11月28日)もの介入資金がつぎ込まれています)。
そのおかげで(?!)、米ドル/円のマーケットが動かなくなってしまいました。 政府日銀としては「してやったり!」なのかもしれませんが、こうした歪んだ行動を取り続ければ取り続けるほど、また、その資金が大きければ大きいほど、将来の市場からのしっぺ返しはとてつもなく大きなものとなり、それを修復する為のコストも、とんでもなくかかってしまう事は歴史の語るところです。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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