2010/06/18 05:26 | 昨日の出来事から | コメント(1)
どうやって財政再建すべきか?
今週号の英経済雑誌エコノミストに、「どうやって財政再建すれば経済成長にマイナスのインパクトが少なくて済むか?」について記載されていましたので、ご紹介したいと思います。
ハーバード大学のAlbert Alestina 氏と Rpbert Perotti 氏(現 Milan’s Bocconi 大学)によれば、
(1)削減すべき部門としては、年金の削減と、公務員の賃金や社会福祉のような公的債務を下げる事が、より早いGDPの成長を助ける。
(2)また、最も経済に対してインパクトの少ない増税は、法人税の引き上げと消費税の引き上げである。
(逆に個人への直接税の引き上げと公共投資の削減は経済へのマイナスインパクトが大きい)
との研究結果が分かりました。
財政再建と言っても、何でもかんでも歳出を削減すれば経済成長の足を大きく足を引っ張ります。また、「税金の取れるとこから手っ取り早く取る」と言った発想の増税の仕方をしますと、却って消費を冷やし、これまた経済成長の足を引っ張ってしまいます。今回の研究は、どの部門の歳出を削減し、どの部門にどういった増税をすればいいかを研究したもので、今後、注目されるものと思われます。
さて、ここから先はこの研究結果が正しいという前提に立って、今、世界で行われている歳出削減と増税のあり方を見てみますと、 ユーロでは、ほとんどの国が公務員の年金のカットや賃金のカットに着手し、増税では消費税で増税することを目指しており、これらの方向性は正しいようです。 例えば、アイルランド、スペイン、ギリシャでは、公的年金や補助金をカットし、イタリアは、ドイツやギリシャのように3年間、公務員の賃金を据え置き、退職者の数だけ新規採用する事を決めました。 社会福祉の支給金では、アイルランドが今年から、また、ドイツでは2011年から削減されます。年金に関しては、ギリシャで削減されますし、スペインやイタリアでは凍結されます。 幸いなことにどの国も公共投資の多くの削減をしていません(経済成長に最もマイナスの影響がある為)。
ですが、個別にみると、スペインとアイルランドはこれまで公共投資を大幅に削減してきた結果、ここに来て、それ程ではなくなってきています。 また、ポルトガルは、失業保険を削減する一方で、高い直接税に頼り過ぎています。
ところで、日本は、これまでどういった財政削減に力を入れてきたのでしょうか? 確かに無駄な箱モノは不要でしょうが、前政権の「箱モノからヒトへ」とか「事業仕訳」といった言葉に踊らされて、本来、着手すべき公務員の賃金カットや、消費税の引き上げ、年金のカットなど、経済成長にインパクトの少ない部門の支出削減(あるいは増税)をせずに 経済成長の足を最も引っ張る公共投資や将来の研究開発費等の投資を削減する事ばかりに国民の関心を誘導しすぎています。
日本の経済がいつまでたっても景気が良くならない理由の一つがここにあるのではないでしょうか。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
現在有料版にはお申し込みいただけませんのでご了承ください。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
One comment on “どうやって財政再建すべきか?”
コメントを書く
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。
個体差を乗り越え・・経済法則として・・認知されるか?
研究には・・日本も?
まだ
お二人だけでは・・??
我等のお国でも・・消費税増額・・姦しい・・
ホヤホヤの・・首相・・
野党は消費税十%・・故にこれを目安・・!!・・直近マニフェスト!!
骨まで・・野党根性が・・染み付く・・鼻につく・・貧しさ・・!!!
多分
財務省は・・朝から・・消費税ルーレットを回し・・何%に・・玉が落ちるか・・確率を・・研究中・・なのか・?・・・