2010/06/17 06:18 | 昨日の出来事から | コメント(1)
ほとんど減らないユーロ圏の財政赤字
ここに来てユーロは、5月にIMFと協調してギリシャとユーロ通貨の支援策を打ち出し、また各国の財政規律回復に向けて取り組みをアピールすることで、それまでの急落から回復基調にありますが、今週号の英経済雑誌エコノミストが、バークレーズ キャピタルの調査した2010年度財政削減計画と、2011年の削減計画をまとめたレポートを掲載していましたのでご紹介します。
まず、ユーロ全体のGDPを100とした時、ドイツはその26.8%を占め、フランスは21.4%となり、イタリアが16.9%、スペインの11.7%が続きます。今回、問題になったギリシャは全体の僅か2.6%であり、ポルトガルはさらに少なく1.8%しかありません。 アイルランドも同様に1.8%の割合です。これらの国の合計でユーロ圏全体の83.1%を占めます。
今回、ユーロ各国が発表した2010年度、2011年度財政削減計画を見てみますと、2010年度にはギリシャが7%、アイルランドが3%、ポルトガルが2.5%、スペインが2.5%、イタリアが0.5%の削減計画となり、フランスは財政削減計画なし、ドイツに至っては1.5%財政赤字が増えます。 ユーロの残りの国ではやはり0.4%財政赤字が増え、ユーロ全体では僅かに0.2%の財赤字削減計画に過ぎません。また、同様に2011年度はたった1%の財政赤字の削減計画となっています。しかも、これは今年のGDP計画を基準にしており、今後、景気が悪化すれば、赤字削減額計画は減る可能性が大きくなります。
結局の処、2010年、2011年度のユーロ圏内の財政赤字は、今回のユーロのソブリン問題を機に大量のコストをかけて“時間を買った”ものの、全く遅々として進まない事がわかります。 読者の皆様の中には、「今回、大幅にユーロ安なった分、対米ドル対比では財政赤字残高は大幅に減ったのではないか?」と思われるかもしれませんが、彼らの返済原資は自国の税金ですので、税収入(ユーロ建て)も他通貨対比、大幅に下落しており、ここでは為替の議論は関係ありません(一方で、確かに貿易や対ドルベースで見た一人当たりの賃金などの国際競争力は大幅に改善しています)。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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One comment on “ほとんど減らないユーロ圏の財政赤字”
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このままだと・・
ECも・・日本の「失われた10年」・・の最後尾につく・・宿命・・
我等JAPANは・・いつの間にか・・トップ・・「失われた二十年」・・に突入・・
トップは
いつだって・・気持ちいい・・・