昨日、ＲＢＡ総裁Glenn Stevens氏がシドニーで講演をしました。主な内容は以下の通りです。

（１）ヨーロッパに対する豪の輸出は、確かにここに来て減少しているが豪の輸出全体の５％に過ぎず、豪の経済に与える影響は限定的である。何故ならば２−３年前からユーロ圏の景気後退によって既に減少しており、今後、大きく影響を及ぼす可能性は少ない。寧ろアジアの景気動向を注視ている。　つまりユーロの金融危機の影響がアジア経済にどういった影響を与え、それが豪の資源価格にインパクトを与えるかに注目している。

（２）国内の失業率は低く、また景気信頼感がしっかりしている一方で、唯一、個人支出が緩やかに低下しており、我々が現在関心を持って見ているのは今後の国内の個人の借り手動向である。

（３）現在の金利水準は、過去１０−２０年間の平均的な水準であり、ローンを保有している人にとって高い水準ではないものの、今後、長期的な貯蓄率の低下傾向が上昇に転じるかどうかに注目している。

（４）今後の景気の見通しであるが、ユーロの財政緊縮政策がより積極的に取り組まれることが予想され、それが２０１１年の世界経済の成長率の重石になるかもしれない。

（５）また、現在、ユーロで取り組まれている現在の複雑な問題に対する政治的動向が、世界経済成長の妨げになる可能性がある（様々な規制や禁止法案等）。