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2011/11/18 05:45  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

当世、国際結婚事情


おはようございます。

今週号の英誌エコノミストに国際結婚に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

世界で一番国際結婚の比率が高いのはキプロスで、75%とダントツです。 とはいっても、キプロスの場合は特殊で、宗教上結婚が許されない(あるいは認められない)カップルが、キプロス国籍を一時的に取得して結婚するケースが多いのです。

次に国際結婚が多いのは、スイスの50%です。 スイスはご存じのように公用語が、ドイツ語とフランス語とイタリア語であり、スイスの多くの国際結婚の場合は、結婚相手がこれらの言葉を話すドイツ人、フランス人、あるいはイタリア人なので、国際結婚比率が高いのも頷けます。

その次に多いのは、シンガポールの約40%、スペインの21%、フランスの18%、ドイツの17%が続きます。 これらの国々もスイスと同様に、自国周辺もしくは公用語が同じ言葉を話す人々のカップルが多くを占めます。

さて、ここから取り上げる国々で、若干、様子が異なってきます。 まず、台湾では国際結婚比率が17%を占め、2000年に比べて10.2%も比率が上昇しています。その次に来るのが韓国の15%を占め、2000年に比べて7%上昇しています。 ちなみに、私達、日本人の国際結婚比率は5%であり、2000年に比べて0.4%低下しています。

こうしたアジアの国々の国際結婚比率が高い理由として、まず第1に、シンガポール、韓国、台湾、そして日本等のアジアの豊かな国の女性の3分の1(もしくはそれ以上)は結婚をしません。 さらに、結婚の晩婚化が挙げられ、彼女たちの平均結婚年齢は31〜32歳となっています。

更に、アジア独特の「出生の選択」といった事情があります。 中国の一人っ子政策にも見られるように、アジアでは「子供を持つなら男の子がほしい」傾向があり、 一般的には、平均的な出生比率は女子100に対して男子105ですが、韓国の場合、女子100に対して男子117となっています(1990年のデータ)。

こうした事を背景に、絶対的な結婚相手不足(女性)を補うために、中国やベトナムの貧しい地方から経済的機会を求めてこれらの国の男性と結婚するケースが多くあり、その形態に多くの歪みがあります。 例えば、ベトナム女性と結婚した韓国男性との年齢差の平均は17歳もあり、また、その5分の1の男性は以前にもベトナムの女性と結婚したことがあるのです。これは明らかに通常の結婚とは違うものであり、また、こうした結婚には、様々な虐待や人権問題を抱え込んでいます。

本来、国際結婚は、経済的により豊かにし、個人の幸福を促進する制度であり、また、国際社会の融和を促進するものです。しかし、残念ながら一部の国際結婚には、本来のあるべき姿からかけ離れた国際結婚があることも事実です。

英誌エコノミストは最後に「国際結婚は、今後も上昇する傾向を辿であろう。その中に合って、各国政府は、こうした国際結婚の犠牲者を保護する一方で、国際結婚そのものを妨げるような事があってはならない」と指摘しています。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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