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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2019/11/01 06:04  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

五里霧中の世界経済?!


おはようございます。

先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

10月15日にチャンピオン シップで優勝した アイスホッケー チーム St Louise bluesがホワイト ハウスに歓迎された後、トランプ大統領は、誇らしげに、その前の週の中国との暫定的な貿易に関する合意による大勝利を繰り返し発言した。しかし、それは、単に、もし中国が数十億単位でアメリカの農産品を買えば、中国からの輸入に対して追加的な関税はかけないというものであった。では、どれくらいの量か?トランプ氏は「大きな数字だ」と強調した。「私は70億ドル、、、」、いや、正しくは「20億ドル、、、、」、「いや、違う、50億ドル台、、、」 と言った(はっきりとした数字は言えなかった)。

これで実際に計測できる量になるのであろうか?中国は具体的な数字を望んでいないし、その他の関連する要求も望んでいない。と同時に、中国は、更に関税をかけられることも望んでいないし、これまで関税の撤廃を開始することを望んでいる。今回の取引内容は、来月のサンディエゴで開催されるAPECの首脳会談の前に開示されるかもしれない。

しかし、こうした「予測不能さ」が問題である。IMFのチーフ エコノミストGita Gopinath氏は「高い関税だけでなく長引く政治的な貿易のやり取りの不透明さが世界経済にダメージを与えている」と述べ、世界経済の成長見通しを再び引き下げた。 幅広い範囲で製造業は一層警戒的になっており、設備や機械の購入を控えているとIMFは指摘している。貿易戦争の霧(見通しが立たない事)が設備投資支出を抑圧している。更に、機械や、設備などの資本財は輸入されているので、弱い設備投資が一層貿易にダメージを与えている。IMFは、今年の世界経済の成長率を去年の3.6%から3%になると予想している。これは、2008年の世界金融危機以来、10年ぶりに低い数字である。

アメリカもユーロも、貿易に関する緊張が高まる前の今年の7月にIMFが発表した数字よりも成長が鈍化すると見込まれている。特に、インドは急激に失速している。1か月前には7%の成長を見込まれていたが、現在は6.1%まで低下している。2020年の中国は今や6%を下回ると見込まれ、過去30年間で最も低くなる見込みである。

そして、これは驚きに値しないが、IMFは香港の経済見通しも大きく下方修正した。香港は、今年の4月の2.7%の成長見通しから、市民に対する催涙弾攻撃(反対デモ運動)の後、現在は僅かに+0.3%の成長見通しとなっている。この動乱がアメリカと中国の関係を更に悪化させ、不安定にしている。10月15日にアメリカ下院が香港の自治を支持し、これを侵害する高官に対する制裁をする法案を可決した。中国は、これを内政干渉として強く反発している。

IMFのエコノミスト達は、トランプ氏によって想定されている制裁が下されれば、世界経済に対するダメージがどれ程になるかを試算した。それに依れば、直接的なダメージは驚くほど少なかった。関税は既に発効され、既に実施されているが、貿易戦争が無かった状態に比べて、来年のアメリカのGDPは僅かに0.2%低下するだけであった。 しかし、間接的に大きくダメージを受けるのは、ビジネス信頼感であり、金融市場におけるリスク オンの動きである。こうした事がアメリカの2020年のGDPを0.6%押し下げる。中国では、ほぼ2%経済成長を押し下げると見込まれている。

これらは数字的には小さな数字である。しかし、経済的には大きな金額となる。もし、IMFの予想が正しければ、解決できなない貿易戦争のコストは来年だけでアメリカは1250億ドルに上る。中国に至っては、3000億ドルもなり、実に巨額である。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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