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The Gucci Post [世界情勢・政治・経済金融 × プロフェッショナル]

2019/07/31 05:28  | 昨日の出来事から |  コメント(0)

ポンドの行方は?!


おはようございます。

先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。

2016年6月24日、極めて短時間に時間にポンドは暴落した。イギリスのユーロ離脱派の予想もしない勝利にスターリング ポンドは僅か1日で7%も下落した。3年後の今、ポンドは再び売られている。現在は、4月以降対米ドルで5%下落し、過去2年の安値を更新している。この1か月で1%下落し、主要通貨で最も悪いパフォーマンスとなっている。多くのイギリス人はこうしたポンドの値動きをブレグジットのせいにしている。しかし、最近の下落はもっと複雑である。

国民投票以降のポンドは、ブレグジットが経済成長の足を引っ張って弱く推移し、2016年10月に、テレサ メイ首相が強制的な離脱を約束した時、ポンドは安値を付けた。 しかし、その後は2017年から2018年にかけては上昇した。

その理由の一つは、経済が非常に強かったからである。2016~2018年にかけて、イギリス経済は国民投票以前の経済成長率を下回ることはほとんどなかった。失業率は数十年来の低い水準まで低下した。(強制離脱を模索する)メイ氏の懸命の努力にも関わらず、トレーダーたちは、ユーロ離脱に関しては緩やかな離脱(EUとの関税同盟に残り、単一マーケットのメンバーシップを維持する離脱)を信じてきた為に、経済に悪影響を与えてこなかった。

しかし、4月以降、EUがブレグジットの期限を10月31日まで延期することを決めた途端、ポンドは下落し始めた。トレーダーの中には、もう更なる延期はないと懸念している。また、世界的な要因も大きく働いている。5月頃から、トレーダーたちは世界経済の成長に対する米中貿易戦争の影響でパニックになった。急激なリスク オフ(derisking)の動きの中、海外からの資本の流れに頼っているイギリスの多くの資産が流失して大幅な経常赤字となり、ポンドは下落した。Bank of America Merrill LynchのKamal Sharma氏は「こうした流れは、オーストラリアやニュージーランドでも同様の事が起こった」と指摘している。その結果、両国は大幅な経常赤字となった。

それ以降、貿易戦争は緩和されたが、新たな懸念が取って代わる。それは、イギリス経済の健全性であった。6月の統計では、4月のGDPは0.4%下落した。5月はやや改善した。また、別の調査では、2019年第2四半期のGDPはゼロ成長との見方を示した。いずれのデータもインフレ率が低下していることを示しており、イギリス中央銀行が政策金利を引き上げる事はないことを示している。

ポンドは、先々週、下落が加速した。メイ首相辞任後の二人の後任候補の内、優勢な候補(ボリス ジョンソン氏)は、10月31日にEUとのディールに如何に関わらずEUを離脱することを約束した。現時点ですら、EUとのディールなしの離脱を信じるアナリストは少ない。しかし、多くの人々の心は大きく揺れ動いている。今後、ディールなしの離脱を市場が織り込み始めた時、ポンドは更に大きく売られるであろう。

クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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