2019/07/23 05:38 | 昨日の出来事から | コメント(0)
トルコ リラの今後は?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
トルコ経済は回復の兆しを見せていた。今年の初めの地方選挙の後、アメリカとの緊張関係によって年初来2%も下落したトルコ リラを鎮める手段として取られた高金利政策が強化された。おかげでインフレは去年の秋の25%から16%まで沈静化した。
しかし、7月6日未明、トルコ大統領Recep Tayyip Erdogan大統領は中央銀行総裁Murat Cetinkaya氏を解雇した。Cetinkaya氏はマーケットから広く称賛されていなかったが、大統領の有無を言わせない解雇は市場に激震を与えた。Erdogan氏は「(経済学者の間では笑いものになっている)高インフレの責任は高金利にある」と非難し、金融政策に関わる者がその事を明確にすべきであると非難を与え続けてきた。Erdogan氏は「我々は、彼にミーティングで何度も経済実態にあうよう金利の引き下げを言った。我々は、更に、もし金利が下がればインフレも下がる」とも言ってきた。 しかし彼は必要な措置を取らなかった」と述べた。
アセット マネージメント会社GAMの投資マネージャーPaul McNamara氏は「Erdogan氏はサッカーでいう処のオウン ゴールをした(大失策をした)」と述べ、「最善な政策は、トルコ リラが売られている間は、高金利を維持すべきである。最悪な政策は通貨が雪崩を起こすことである(暴落する事である)」と述べている。また、リスク アドバイザー会社TeneoのWolffango Poccoli氏は「Cetinkaya氏の解雇は、地方選挙後のトルコの政争の一時的な中断の希望が絶たれた事を示す」と述べている。
7月8日には、トルコ リラは米ドルに対して3%下落し、その後は若干回復した。また、トルコ 株式インデックスは1.5%下落した。
Cetinkaya氏は、伝えられるところに寄れば、Erdogan氏と娘婿で財務大臣であるBerat Albayrak氏から地方選挙の前に、トルコ リラを支える為に中央銀行の米ドルの準備金を使うようプレッシャーをかけられていた。Erdogan氏と Albayrak氏がCetinkaya氏に政策金利の引き下げか、さもなくば辞任を迫った時、Cetinkayaはいずれも拒否し、その後、解雇された。彼の解雇は、1981年に軍のクーデターで政治家の大半が解雇されて以来、初めてである。
中央銀行の新しい総裁はCetinkaya氏の次官であったMurat Uysal氏であるが、波乱の始まりとなった。7月8日に、彼のご主人(Erdoga氏)の間違った経済政策(現状に政策金利を引き下げる政策)に対する非難に直面する(トルコ リラが対米ドルで急落)。 これに対し、彼は何もしなかった。更にトルコ リラに対する新しいプレッシャーは、7月25日の金融政策会合で政策金利を引き下げる為に彼が奮闘することである。イスタンブール株式取引所の前任のボスIbrahim Turhan氏は「もし、そうなったならば、更にトルコ リラは売られるであろう」と述べている。
もっと悪いニュースがあるかもしれない。アメリカは、トルコがロシアからS-400の防衛システムを購入すれば経済制裁をすると脅している(2017年に通過した法案は、アメリカがロシアの防衛に関する重大な取引を罰する法律)。Erdoga氏とトランプ大統領との和解の噂があるにもかかわらず、ワシントンの高官は、制裁は即時に発動すると言っているが、既にロシアの武器はトルコに到着することになっている。トルコ中央銀行のUysal氏は、(マーケットから)火あぶりの儀式(火あぶりの刑)に直面するだろう。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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