2019/06/06 05:31 | 昨日の出来事から | コメント(0)
豪、第1四半期のGDPは前期比+0.4%
昨日、ABS(オーストラリア統計局)が発表した2019年第1四半期のGDPは前期比+0.4%で、事前の市場関係者の予想は+0.5~0.6%でしたので予想よりも悪い数字となっています(尚、2018年通年では豪のGDPは+1.8%でした)。
今回の数字は9年半ぶりに低い成長に留まり、その背景には家計支出が弱い事、住宅市場の下落傾向が続いている事、そしてこれに伴う建設業界が低迷していることがあります。
KPMG のチーフ エコノミスト Dr Brendan Rynne氏は
(1) RBAは、一昨日、政策金利0.25%を引き下げたが、(今回の数字を見ると)彼らはもっと積極的に政策金利を引き下げるべきだったかもしれない。彼らは、限られた政策金利の引き下げ余地を、より短期間でもっとインパクトのある形で広く行きわたらせるべきであった。
(2) と同時に、先月の総選挙で勝利した与党は、インフラ整備投資や選挙で約束した減税を速やかに行って景気を下支えすべきである。金融政策だけで豪経済を上向かせるのは非常に困難である。
また、HSBC のチーフ エコノミストPaul Bloxham氏は「今日の数字から家計の可処分所得が前年比2.3%の上昇に留まっていることがわかる。雇用は過去の平均値を上回って堅調であるが、賃金の上昇が弱く、所得が所得税の上昇に追いついていない」と指摘しています。
NAB’のAlan Oster氏とGareth Spence氏は「今回の数字を受けて、RBAは8月にも政策金利0.25%を引き下げ、年末までにもう一段の政策金利の引き下げがあるかもそれない。更に、世界経済が失速するようであれば、政策金利の一層の引き下げ、あるいは財政支出による景気刺激策が必要となるであろう」とコメントしています。
また、Commonwealth Bankの経済チームは「製造業の伸びが非常に弱く、時間当たりの生産性がマイナス成長になっており、その下落傾向はここ数年続いている」と指摘しています。RBAもこうした事を認識しており、一昨日のRBA総裁の声明でも「豪政府は、構造改革、企業の投資、イノベーション、雇用促進政策によって生産性を上げる必要がある」と指摘しています。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
現在有料版にはお申し込みいただけませんのでご了承ください。
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。