2019/04/18 05:44 | 昨日の出来事から | コメント(0)
今後の世界経済の行方は?!
先週号の英誌エコノミストに掲題に関する記事がありましたのでご紹介したいと思います。
世界経済について悲観的な見方が2019年に入って顕在化している。失望させるような経済指標に、債券の利回りは急低下し、中国とアメリカの貿易戦争、イギリスのEU離脱問題がその理由の一つに挙げられる。唯一、明るいのは株式市場の上昇である。4月9日にIMFは、今年の世界経済の成長率を1月の3.5%成長から下方修正するだろうとの見通しを発表した。しかし、今の処は、景気の失速はあっても、下降に至っていない。理由は、経済の弱いところは、今の処、サービス セクターを苦しめずに製造業だけだからである。そして、製造業が反転すれば世界経済のムードも上昇に転じるかもしれない。
製造業の苦しみは、主に世界貿易の下落によるところが大きく、中国政府が貸し出しなどのレバレッジを下げて輸入を抑制し、昨年後半に国内経済の成長を低下させたことにある。寧ろ、痛みはヨーロッパにあり、これらの地域はアメリカよりもエマージング国に多くを輸出している。特に、ドイツは厳しい打撃を受けている。ゴールドマン サックスは「4月1日のドイツ製造業の調査では、3月の債券市場では打ち消されていた弱気な見方が、予想以上に悪い形で復活した。製造業の失速振りはイタリアよりもドイツの方が酷く、景気後退に入っている。」と指摘している。 しかし、ドイツの サービス セクターは、他のユーロ圏と同様に非常に強い成長を見せている。
サービス産業は、製造業よりも景気変動が少なく、先進国のGDPに占める割合も増加している。また、その性格上、貿易に関係していない(サービスの提供は主に国内)。その事が労働市場と消費者の堅調さに反映されている(ドイツの失業率は3.1%を非常に低い)。しかし、1つだけ例外の国があり、それはイギリスである。4月1日と3日に発表された調査では、製造業の成長が過去1年で最も高く、逆にサービスが縮小している。両者の動きは共にブレグジットが関係している。イギリス経済は、消費者信頼感指数が下落する一方で、製造業はEUから強制離脱に備えて在庫を積み上げている。
2000年代に入って、サービス業のウエイトが増加することが、1980年以降、経済のブレが低下する「偉大なまでの緩やかな成長:great moderation」の説明の一助になるかもしれないと考えるエコノミストもいる。
世界金融危機ではボラティリティが急上昇したが、この夏までアメリカの景気拡大が続くならば、景気拡大の史上最長を更新することになる。 今後も製造業のピークとボトムを形成しながらも、経済全体としては生き延びて行くのかもしれない(景気拡大が続くかもしれない)。
中国は、最近、景気刺激策に政策を転換した。今年後半には中国経済はリバウンドするであろうと指摘する経済学者もいる。3月の中国の製造業は、昨年夏以来の強気伸びを示している。それに加えてアメリカの強い経済データがマーケットを押し上げた。たとえ、もし中国が世界経済の下落の原因として、今が、景気下降の初期であるならば、その下降の影響が単に国境(各国の貿易問題)に直結する製造業だけでなく、サービス セクターにも下降の影響が出る事を必要とするであろう。
クロコダイル通信は2019年12月末日をもって連載終了となります。
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